印刷Q&A 前アテの深さ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

A全判、上質35kgの紙を刷っていた時に、刷り位置の問題で、
前アテの位置を下げた(深くした)ところ、紙にシワが発生して
止まらなく成ってしまいました。シワの発生と前アテの位置は、
何か関係があるのでしょうか。

●回答

そう、結論から言ってしまうと、実は密接な関係が有るんですよ。

前アテってね、基準になるノーマルなゼロ点が有って、そこから上下に
±1mmづつ動かす事が出来るってのが、普通の構造だと思います。

ゼロに成る点は、どうやって決めているかと言うと、これが「爪の噛み代」なんですよ。
例えば、紙の咬を爪が噛む時、あるメーカーの印刷機では、6mmを基準としています。

前アテを下げる(深くする)と、噛み代が最大で7mmに成り、
前アテを上げる(浅くする)と、噛み代が最小で5mmに成るってことです。

基本的に、この範囲内であれば、シワが出る等のトラブルは出ないはずなんです。
ところがですねぇ、何らかの事情で、基準に成るゼロ点が、6.5mmに成ってしまって
いたとしましょう。この時に、前アテを最大に下げると、7.5mmの噛み代に成って
しまいますよね。こう成ってしまった場合は、シワ等が出てしまう事が有ります。

紙の咬を必要以上に深く爪が噛んでしまうと、紙にシワが出たり、角が折れ曲がったり
してしまうんですね。

さて、問題は、前アテのゼロ点(基準点)が狂ってしまう原因に関してなんですが、
例えば、厚めの紙を刷っている時、給紙のミスで、前アテの辺りで紙がグチャグチャに
成ってしまったなんて経験、有りませんか?

ケッコウ大きな音がして、紙が破れたりしますよね。衝撃としては、なかなかの物
だと思います。この時の衝撃で、前アテの位置がずれてしまう事が有るってワケですわ。

前アテの調整機構には、目盛が付いていたりしますが、そのゼロ点と本当のゼロ点が
狂ってしまうと、許容範囲の7mmを越えて、深く噛んでしまったりするワケなんです。

前アテを目一杯下げた時に、シワ等のトラブルが出るようなら、機械屋さんに頼んで
基準点が狂ってしまっていないかを、見てもらうとイイですね。