印刷Q&A 保存版 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

当社では、一度使った版を、全て保存して、増刷の時などは、この保存版を
使って印刷をしています。全て保存するので、版の置き場が大変な事に成って
しまっており、その中から必要な版を探すのも一苦労です。こうした保存版に
関して、他社では、どのように対応されているのでしょうか。

●回答

他社さんは、あまり分かりませんが、私は、一切、保存版をやりません。
明日、増刷が来ることが分かっていても、保存せず、再出力した版を使います。

今はCTPの時代ですよね。刷版の再出力なんて、チョチョイのチョイですやん。
しかも、その再出力の経費も、本当に少なくて済むと思いますよ。

私は、工場内のスペースを、保存版で使われるのが、一番イヤなんですわ。
そんなスペースが有るならば、もっと有効に使いたい。しかも保存版って、非常に
危険性が高いですよね。版キズが入る可能性も高いし、よく似た版を間違えて使って
しまう可能性も、スゴく多いですよね。

小さな汚れを見逃してクレームに成ってしまったり・・・。工場の信用問題の
一番の大元が刷版なんだと思っています。ならば、その版を安心して使いたい。
古い保存版で、版を探したり、キズや汚れの確認作業に費やす時間が、なにより、
もったいない。

CTPが活躍する以前の、フィルムの時代ならば、保存版も理解出来るんですよ。
コンポーザーで、1枚、30分以上も掛かって版を焼いてた時代なら、保存する意味も
あろうってもんですが、今時は簡単に版が出て来てくれますからね。

今時の印刷機械の方も、こりゃかなりの高性能ですから、CTPで出力された版は、
版胴に取り付けた瞬間に、見当が合ってるような状態で、スピーディーに作業が
進められるんですが、これが保存版だと、そうは行かない。

・・・保存版の悪口ばかり書いてますが、私は、本当に嫌いなんです。
現在のCTPで、一度使った版を保存する意味が分からない。無駄な点しか見えない。
ってくらいに、保存版が嫌いです。保存版などと言う無駄な事は、さっさと、やめて
しまうのがいいんだと思いますよ。