印刷Q&A 特色の色合わせ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

菊半2色機のオペレータです。特色が多い仕事なので、毎日、特色を
作っています。特色の色指示が、DICの○○番だとか、そのチップが
付いている物は簡単なんですが、どこか他所の印刷屋さんで刷った前回の
印刷物が見本だったりすると、色出しが大変です。その見本が黄色く変色
してしまっていたり、非常識なくらいにインキの盛りがすごかったり。
他の印刷会社では、こうした場合には、どう対応しているのでしょうか。

●回答

わ~、おっしゃってる事、とても良く分かりますわ~。

ちょっと前にも「見本が悪い場合」って題名で書いてるんですが、特色の場合は、
こりゃまた本当に苦労してしまいますよね。前回見本とか言われて渡された物が、
すでに紙まで黄色く変色してしまってたりしたら、こりゃ本当にアカンですわ~

でもね、私は、こんなふうに考えるようにしています・・・。
特色の色調に関して、本当に超厳しい物であるならば、他の印刷屋さんに流れて
来るような事はないんですわ。念密な打ち合わせをして、特練りをインキ屋さんに
作ってもらって、必ずそれを使って、常に一つの会社の、印刷機まで限定して刷る
ってのが、本当に超厳しい物なのだと思うんですよ。

ですから、前回見本とか言って、他所の印刷屋さんが刷った物が来た時点で、
そりゃもう、そこそこの物ってことなんだろうと思うんですわ。あッ、決して
手を抜いてイイってわけではないですよ。

色調ってのは、その評価が、非常に曖昧(アイマイ)な場合が多いんですよ。
そんなに違わないのに「刷直しだッ!」って言われてしまうこともあれば、かなり
違ってても「問題なし」ってことも有りますもんね。

肝心なのは、色調や濃度が「ブレる方向」の問題なんだと思います。
これ以上、淡く成ってはダメ!とか、これ以上、青っぽく成ってはダメ!など、
ブレてはいかん方向にブレてしまうと、一瞬でアウトに成ってしまいますよね。

その印刷物を、一番最初から刷ってれば、ブレちゃアカン方向も分かるんですが、
何回目かの増刷で、他の印刷屋さんから、営業マンがもらって来ちゃったなんて
のは、本当に難しいですから、こうした時には、そうした「アカン情報」を、
印刷する前に、しっかり聞いて来る事が大切です。

色調クレームってね、刷ってしまってからでは、なんとも成らんのですよ。
(まぁ、補色を掛けるなんて言う、究極の手も無くはないんですが)
とにかく、刷る前に、しっかり打ち合わせをすること。営業マンは、しっかりと
お客さんから情報を入手して来ること。そうやって、お客さんからの要望を
間違えのないように再現出来れば、難易度は、かなり低く成りますよね。