印刷Q&A 紙のシワ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

上質35kg A半切の紙で、針元にシワが発生して止まらなく成りました。
1色目の墨から、シワで印刷不良に成っています。機械はA全判4色機です。
紙クセは、あまり良くはないのですが、めちゃくちゃ悪いわけでもありません。
A半切は、あまりやらないので、これが初めての経験です。
何かアドバイスを頂けませんか。

●回答

A全の印刷機で、A半切ですか。まぁ、今時はそれも普通なんですかねぇ~。

1色目の墨から、まともに印刷出来てないって事なんで、紙が1胴目に入る前に
トラブルが起きているって事ですよね。紙も、A判35kgと、こりゃ腰の無い紙
なので、ちょっとしたトラブルで、シワが入ってしまいますよね。

シワが発生した場合、一番初めに確認するのは、フィーダーボード上のコロですよね。
薄紙の場合だと、ハケコロを強く当て過ぎているだけで、シワが入ってしまいますし、
ゴムのコロが、紙のお尻の部分を踏んでしまっていたら、こりゃアウトですよね。
・・・最近の印刷機は、フィーダーボード上に、コロが無いタイプの物も多いですが。

印刷中に、フィーダーボード上の紙の流れ方を見てみて、なんのストレスも無く
キレイに流れていて、それでもシワが出るたとしたら、こりゃチョット厄介ですね。
何らかのストレスが有って、紙の流れが、ギクシャクしてるようなら、それを改善
してやればイイだけの話なんですけどね。

具体的な話、まず確認して欲しいのは、ハケコロ等のセッティング。
次に、針が引く時の強さです。腰の無い薄い紙は、針が引く時の強さが強過ぎると、
シワに成る場合が有ります。・・・最近は、エアー針とかも有って、また難しいですが。

あと、ボード上を流れる紙のストレス具合。何か引っ掛かりが有るとかはアカンです。
・・・こうした事が全てOKで、それでも、シワが出るとしたら、今度は「爪」ですね。

1胴目に入る前でトラブルが起きているので、前アテ、スイング、第一中間胴、
そして、第一圧胴。その4ヵ所の爪を確認する必要が有ります。・・・前アテは爪とは
言わないですが、ここの不具合もケッコウ有るんですよ。

爪の確認方法としては、メーカーの指示に従う事が一番大切なんですが、症状的には、
爪の動きが悪い。爪の開きが悪い。爪の圧力が悪い。と言う3種類です。

あとね、もう一つ確認して欲しいのが「爪の位置」なんですわ。普通にA全の紙を
印刷してる時とかは、何とも無いんですよね。今回、A半切をやったら調子が悪い。
と成ると、A半切の一番端の部分に対して、爪がどんな位置に有るかってのが、
ケッコウ大きな問題に成るんですよ。

一番端を、爪が、つかみそうでつかまないとか、ギリギリ端っこを、チョットだけ
つかんでる。なんて状態はヤバいです。A全判の機械で、A半切をやったりすると、
こうした情況に成ってしまいやすいんですよ。

んじゃ、どうするか。爪を移動させるワケには行きませんので、紙の方を移動して
爪の咬み方が良好に成るようにしてやります。つまりね、針位置をずらすんですわ。
例えば、針側に3mmとか、5mmとか移動してやるワケです。当然、絵柄がセンター
からずれてしまいますが、これでウマく行けばシメタモノです。

例えば、5mm針側に移動して、シワが消えたとしたら、それが、このサイズの紙の
ベストポジションと成るわけですよ。このベストポジションが決まったら、次からは、
「A半切の場合は、センター位置を、5mm、針側に移動させて版を作る」と言う
ルールを作ってしまえばOKですよね。

原因不明のシワの多くは、この、紙の位置が、爪と合わない時に発生しているようです。
少しだけ、紙の位置をずらして、印刷してみて下さい。もし、それでもシワが止まらん
ようでしたら、早急に機械メーカーと相談された方が良いでしょう。