印刷Q&A デリバリィでの紙揃い | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

先日の、和紙の印刷に関してですが、例えば、給紙が良好だったとしても、
排紙(デリバリィ)の方で、静電気などが発生し、紙がキレイに揃わない。
と言う状況に成ってしまいます。和紙の場合はいつも、排紙側でグチャグチャで、
後から揃える、と言う方法を取っていますが、それで良いでしょうか。

●回答

アカンです。(キッパリッ!)

日本全国、いろんな印刷現場に指導に行かせて頂きました。たまには再訪問の所も
有りますが、そのほとんどは、初めてお邪魔させて頂く所です。そうした時に、
その現場の力量を把握する必要があるのですが、印刷機械が稼働中の場合、私は、
フィーダー(給紙)と、デリバリィ(排紙)を見て、その能力を判定します。

給紙がドタバタ止まってしまうようでは、こりゃ「ド素人」。給紙も出来んヤツに
まともな物が刷れるはずがないです。インキや湿し水の解説をする以前の問題です。
排紙がグチャグチャなのは「三流」。ド素人より少しはマシですが、大きな問題を
イッパイ抱えた、二流にも成れない作業者であると判定します。

本当にウマい人ってね、どんな紙でも、止めずに安定して給紙が出来るんですわ。
そして、これまた、どんな紙でも、まるで断裁機で切ったかのように、ビシッ!と
デリバリィで、超キレイに紙を揃えてしまいます。

安定した給紙・排紙ってのは、印刷機を使う上での、一番の基礎。最初の一歩です。
これが、まともに出来んようでは、そんなヤツがオペレータをやってはアカンとさえ
思うくらいです。

給紙がヘタで、機械が止まってばかりだと、湿し水もインキも全く安定しません。
停止後の再開では、水が多目に成るので、その多目の水に合わせて、インキも多目に
セッティングしてしまうんですよ。そのおかげで、裏移りが止まらなく成ります。

排紙がヘタクソで、紙の揃いが悪いと、これまた、裏移りの大きな原因に成ります。
裏移りで何度も失敗しているから、必然的にパウダーが多く成ってしまいます。
なので、排紙での紙揃いがヘタな人の機械の周りは、パウダーで真っ白です。

私の経験上、ド素人は、まだマシです。自分でもヘタクソだと言う意識が有りますから、
指導する私の言葉に耳を傾けてくれるし、私がセッティングして、それで良好に成ると、
より一層、熱心に質問をして来てくれたりします。

救いがたいのが「三流」です。三流は、私の問い掛けに、「言い訳」で返して来ます。
「なんで、デリバリィで、こんなにグチャグチャに成ってしまうの?」って聞くと。、
あれがこうだからダメ、これがああだからダメ。なんて具合です。

三流は、失敗を恐れて、言い訳を並べ、人の話を聞こうとしません。
二流は、人の話は聞いても、責任を転嫁して、失敗を繰り返します。
一流は、人の話を聞いて実行し、失敗を成功に繋げます。
超一流は、人の話を聞いて工夫し、失敗をしません。

デリバリィでの、紙揃いが悪くて「いつも、こんなんなの?」と私に聞かれたとき、
ああだこうだと、言い訳を並べて、私の改善策を聞こうとしないのが、三流です。

私の改善策を、一通りは聞くのですが、その後に「でも、紙が悪いから」とか、
「工場の環境が悪いから」「印刷機がボロいから」などと、責任を転嫁するのが二流。

一流の人は、私の改善案を、即座に、その場で実行します。
そして、超一流は、・・・超一流相手に、私が指導することなんて無いんですが、
彼らは、私の改善案を聞いて工夫し、メチャメチャ素晴らしい結果に繋げます。

排紙部での紙揃いの悪さについて、機械メーカーなり、出入り業者なりに相談を
してみて下さい。世の中の、ほとんどのオペレータは、排紙部でビッシリと紙を
揃えている人ばかりです。揃えられない自分の、技量の低さをシッカリと自覚して
下さい。まず最初のスタートラインは、そこからです。

もう一度言います。給紙では、安定して紙が通ること。排紙では、ビッシリと、
キレイに紙が揃うこと。これが、印刷技術の中の、基本中の基本だと思って下さい。
基本を無視して、排紙部で、グチャグチャのまま済ませているのは、あなたが、
三流である証しですよ。