●質問
地方選挙で、選挙ポスターを刷ったのですが、当社で刷った物は、他と比べて
「耐光性が悪い」と言われてしまいました。インキ屋さんと相談したら、
「印刷物のインキ皮膜が薄いので、耐光性が落ちる」と言われたのですが、
インキの盛りが軽過ぎる。と言う事でしょうか?教えて下さい。
●回答
そうですね。まず、とても基本的な話からしてみましょうね。
例えば、紙に藍のベタを印刷したとしましょう。紙にインキが付いて、キレイな
藍ベタに成っているのですが、この時の状態をチョット科学的に見てみましょう。
藍のインキは、紙に浸み込んで、藍のベタを形成しているのではなくて、実は、
紙の上に、藍色の「インキ皮膜」を作って、藍の色を出しているんですよ。まぁ、
コート紙などの、浸み込み難い紙での話ですが・・・
「皮膜」と言う「膜」ですから、これは当然のように「厚み」が有ります。
そして、オフセット印刷の、標準膜厚(膜の厚み)っていうのが決まっていて、
これは、1ミクロン(0.001mm)に成っています。(ミクロン=μ)
例えば、部分的にインキを盛り過ぎて、1.5μの所が有ったら、その個所は1μの
所よりも濃く見えてしまうし、その逆に、0.7μしか無いなんて所は、淡く見えて
しまうってワケなんですよ。
紅や黄色の印刷で、このインキ皮膜の厚み(膜厚)が薄ければ、耐光性が悪く、
すぐに退色してしまうってワケですね。なので、耐光インキなどは、少々、
インキを盛りぎみにして、インキ膜厚を少しでも厚くしてやる方がイイって事です。
選挙ポスターなどは、屋外に掲示しても、太陽光にさらされている時間がケッコウ
短いですから、まだイイんですが、例えば、道路標識なんてのは、何年も太陽光を
浴びる事に成るワケですよね。
その他には、日の丸だとか、星条旗だとか言う国旗。これも色が褪せてしまっては、
こりゃペケですわね。こうした、道路標識だとか、国旗、なんてのを印刷するのに
使われているのが「スクリーン印刷」ってヤツなんですよ。
スクリーン印刷は、インキ膜厚が、なんと、20μも有るんですわ~。オフセットの
20倍もの厚みのインキ皮膜ですから、こりゃ強いですわね。Tシャツ等の衣類の
プリントにも使われていて、洗濯しても落ちないくらいの強さが有ります。
耐光性などの強さのためには、皮膜の厚みが必要なんですね。
なので、オフセットで耐光インキを刷る場合には、少しでも多くインキを盛って
印刷するように心掛けてやって下さい。