●質問
小さなシオリの印刷で、横方向に8丁、同じ物を並べて、それを3段積みにした絵柄です。
淡いグレー系のカラー写真が入っているのですが、咬側の1段目と、咬尻側の3段目の
色調が、同じ絵柄なのに、大きくブレてしまいます。
天地ムラ、と言うトラブルだと思うのですが、この時、横振りローラーのデットポイントを
変更するとか教わったのですが、やり方も、その意味も分かりませんので教えて下さい。
●回答
おおッ!絵に描いたような「天地ムラ」ですねぇ。
オフセット印刷機ってのは、左右方向には、インキの出し加減で色調を変化させる事が
出来ますが、天地(上下)方向で、咬側だけ濃くとか、咬尻側だけ濃くとかは、本当なら
こりゃ出来ないですよね。もし、天と地で色調ムラが出来てしまったら、これは天地ムラ
と言うトラブルだってワケですわね。
天地ムラってのは、インキローラーの構成の中に有る「横振りローラー」の動きと密接な
関係が有るんですね。横振りローラーってのは、ローラーが左右に往復運動をしながら、
インキを練っているような状態で動いています。
このローラー、常に左右に動いててくれればイイんですが、往復運動ってヤツは、右端に
行った時と、左端に行った時に、横移動の動きが一瞬止まるんですよ。これを「死点」、
「デットポイント」って呼んでいます。
分かります?実際にボールペンを横に長く持って、左右に動かしてみて下さい。
左右の往復運動をさせてみると、右に移動して、左への移動に変わる瞬間、必ず、
一旦停止の状態が発生しますよね。これが「死点」デットポイントですね。
往復運動をして、横移動をしてる時のインキの流れ方を考えてみて下さい。
チョット難しい話ですが、一つ前のローラーからインキをもらって、また次のローラーへ
インキを渡して行くワケですが、普通のローラーだったら、インキ壺から版面に対して、
一直線でインキが流れて行きます。
これが、横振りローラーだと横に振ってるから、インキが一直線ではなく、斜めに
流れる事に成りますよね。横に振っている間は、インキが斜めに流れるのですが、
左右の死点で一旦停止した瞬間には、斜めではなく一直線にインキが流れるんですわ。
説明が難しく成ってしまってますが、斜めに流れてる時と、死点で一直線に流れる時では、
インキが版面に到達するまでの時間が違いますよね。当然、一直線に流れてる時は、早く
版面にインキが到達しますね。なので、この死点に当った部分の絵柄が濃く成るワケです。
死点に当たる位置の絵柄が濃く成ってしまうので、死点の位置を変更する事で、この
天地ムラを緩和してやる事が出来るってワケですね。今はどうか分かりませんが、以前は、
オペレータスタンドのリモコン操作で、死点を変更できる機械も有りましたよ。
あと、具体的な変更方法は、機械メーカーによって違いますので、一度、メーカーの
指導を受けて下さい。・・・難しい解説で、スイマセン(汗)