●質問
色上質紙、例えば、濃いクリームに、特色のグリーンで刷ると言う仕事が有ります。
この場合に、グリーンの特色を、どんな色で作ったら良いか、いつも迷います。
リピート物で、前回のインキが残っていればいいのですが、新しい仕事の場合だと
刷ってみなければ分からないので、刷っては補正、刷っては補正の繰り返しをして
いるのですが、皆さんは、どうやっておられるのでしょうか。
●回答
色上質紙に特色で刷る。ん~、イヤな仕事ですが、まぁ、普通にある仕事ですよね。
オフセット用のインキってのは「透明インキ」と言って、下地が透けて見えるインキ
ですから、下地の紙が黄色だと、その黄色の分を差し引いて、グリーンの特色を
作らにゃアカンですもんね。
昔の職人さん達は、その特色に「ホワイトインキ」を練り込んで、出来るだけ不透明な
インキにして出してる人が多かったですね。しかしながら、オフセットのインキ皮膜は、
0.001mmしか有りません。1ミクロンってヤツですよね。
スクリーン印刷のように、インキ皮膜が20ミクロンもあれば、かなり不透明なインキに
成るので、こりゃ、下地の色がどうだろうと、けっこう楽なのですが、1ミクロンでは、
完全に下地が透けてしまうので、太刀打ちのしようがないですよね。
色上質紙などの下地に成る物の色をマイナスして、特色の色を想像しながら作るってのは
こりゃ本当に難しいですね。おっしゃるように、一度刷ってみなきゃ分からん。てのが、
正解なのだと思います。でも、それじゃ大変なので、昔からあるやり方を一つ・・・
まず、使い古した物でけっこうですので、ブランケットを1枚。これを机の上か、床に、
平らに成るように敷きます。そのブランケットの上に、今作っている特色インキを少量、
乗っけます。そして、そのインキを、インキ用のヘラで、グイッと延ばしてやります。
これは、インキが、かなり薄くなるように延ばして下さい。そして、この、薄く延びた
インキに、今から印刷する色上質紙を被せて、紙の上から擦ります。まぁ要するに、
古いブランケットを使って、自分の手で、印刷している状況を作ってしまうって事です。
インキを延ばすのに、コツが必要ですが、うまく成ると、かなり正確な色調評価が可能
に成ります。困っているんでしたら、一度、チャレンジしてみて下さい。
あと、前にも書きましたが、調色機がイイですね。色上の色を読み込んで、配合を
決めてくれますから、本当に便利ですよ。
もう少なく成ったかも知れませんが、以前は、とんでもない色指定が来る事がありました。
「黄色の色上質紙に、紫で刷れ」なんてヤツです。色彩の基本を知らないバカ者ですね。
紫=藍+紅ですよねぇ。それに色上の黄色を足したら、こりゃ黒でしょう。
こう言う色指定が来ると、私は、迷う事無く、墨一色で刷ってましたわ~。