印刷Q&A 加湿器トラブル? | 1級技能士・成田の印刷技術

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●質問

成田さんの記事を読んでいて、加湿器の事で質問があるのでお願いします。
うちの工場では、水滴が見える、いわゆるスプリンクラータイプの加湿器を
使っています。成田さんの記事によれば、ユポやフィルム系の印刷が多い場合は、
水滴が見えないタイプが良いとの事でしたが、うちは、ユポが多いのに、水滴が
見えるタイプを使っています。この場合、どのような不具合が予想されますか?
また、その対策なども、教えて下さい。

●回答

いつも読んで下さって、ありがとうございます。

スプリンクラータイプで怖いのは、その水滴が、用紙の表面に付いてしまうって
言うトラブルなんですよ。普通の紙なら、そんな水滴くらい、簡単に吸い込んで
くれるから問題無いんですが、ユポやフィルムだと、吸い込まずに、表面に水滴が
残ってしまうんですね。

前に「結露」の話で書いたのですが、ユポもフィルムも、結露で、表面に水分が
付着してしまうと、もうインキが乗らないんですね。スプリンクラータイプの場合、
その水滴がユポの表面に付着して、結露と同じ状態を作ってしまうんですよ。

特にイカンのが、フィーダーボード上です。ここでは、紙が1枚1枚、バラバラに
成って通って行きますので、そこに水滴が来ると、まんべんなく紙の表面に水滴が
付く事と成ってしまうんですよ。

例えば、ユポの表面って、普通の紙に比べたら、非常に強度が有って強いですよね。
少々、硬いインキを使ったって、ピッキング(紙剥け)を起こす事は有りません。
それなのに、ユポにベタを刷ったら、ピッキングのように成ってしまったとか、
紙粉のデカイのが、いっぱい乗って困った。なんて時には、加湿器の水滴が悪さを
している場合が有ります。

とは言え、加湿器をOFFにするってのはアカンですよ。ユポやフィルムは、湿し水の
調整が非常にシビアですから、加湿器をOFFにした瞬間に、汚れてしまう事が有ります。

問題は、水滴の粒の大きさなんですよ。スプリンクラータイプの場合、水滴の大きさは
出来るだけ細かい方が良くて、床に落ちるまでに、気化してしまうくらいじゃないと
アカンのですわ。ですから、水滴が噴射している所の下に立ってみて、そこで水滴を
感じるようでは、粒が大き過ぎるって事です。

自分の体で、水滴を感じるようでは、明らかに、粒が大き過ぎなんですね。
こうした場合は、ユポ等の場合、おそらくトラブルが出るだろうと思います。

んじゃ、どうするか?って話なんですが、根本的に直すのであれば、水滴が噴射して
いるノズルを、新しい物に交換してやって下さい。新しいノズルは非常に細かい水滴
を出してくれます。・・・このノズル、意外に高価なので、ビックリしますが(汗)

応急処置としては、フィーダーボード上に、紙を包むワンプか何かでテントを作り、
水滴が紙に付着するのを防ぐ。ってのも有効なんですが、ボード上に変な物を作る
ってのは、他のトラブルの原因にも成りかねませんので、あまり良くはないですね。

加湿器のノズルって、消耗品なんですよ。もちろん、清掃なんかも重要ですが、
水滴の粒が粗く成ってしまうと、ケッコウいろんなトラブルが出ちゃいますから、
加湿器のメーカーと相談して、新品に替えて行く事が大切です。