●質問
リピート物のパンフレットの印刷物で、その中に偉い先生の顔写真が有ります。
その顔写真の所に注意が書いてあり「前回よりも、濃度ダウン」と成っていました。
濃度ダウンと言われれば、濃度を低くする、つまり、濃度1.50だったものを、
1.40までダウンする事だと思い、そのように刷って納めたら、クレームに成って
しまいました。そんなに量は多くはないですが、全数、刷直しです。
先方が言うには「濃度ダウン」と言う指示なのだから、前回よりも「暗く」刷る
べきなのに、今回のは、前回よりも明るく成ってしまっているからダメだ。
との事なのですが、印刷機の濃度制御で、数値をダウンさせれば、インキの盛りが
少なく成るので、明るく成るのが普通だと思います。
私の考え方は、間違っているでしょうか?
●回答
いやいや、間違ってないと思いますよ。
「濃度」と言う表現を使われれば、我々、印刷機オペレータにとっては、
それは「反射濃度の数値」の事であり、その数値をダウンさせろ、と言われれば、
1.50を、1.40にすると言う事であり、こりゃ、当然のごとくインキの薄盛りと成り、
絵柄は淡く成って当然ですよ。
客先の方も、しっかり理解していないのに、専門用語を使っちゃアカンですよね。
「前回よりも暗く」とか「前回よりも明るく」とか言ってくれれば、誰も間違えを
犯さずに済んだんでしょうにね。
でもねぇ、我々、印刷オペレータにとって、数値的に考えれば、
「濃度ダウン=淡く(明るく)」「濃度アップ=濃く(暗く)」なんだけど、
「濃度」って言う言葉を、専門用語じゃなく、普通の一般的な言葉だと考えたら
「濃度ダウン=暗く」「濃度アップ=明るく」って言うニュアンスも、
決して分からなくはないですよね。
色調のクレームなんてのは、印刷屋にとっては、何を言われても、言い訳にしか
聞こえない事も多々有り、「刷り直しだーッ!」と言われれば、「ハイハイ」と
答えるしか、手がない場合も多いですよね。
こうした色調クレームを防ぐのが、営業マンの役目なんですよ。
と言っても、色調クレームが発生してしまってから、お客さんと折衝しろ
って意味じゃないですよ。・・・まぁ、それが必要な場合も有るとは思いますが。
色調クレームってね、事前の打ち合わせが、とっても大切なんですわ。
お客さんのコダワリだとか、どう成っちゃいけないか、なんて事をシッカリと
事前に打ち合わせしておけば、色調クレームなんて、ほとんど出ないです。
今回の場合もそうですよね。
「濃度ダウンってのは、明るく刷るって事で良かったですか?」なんて、事前に、
一言、営業マンが聞いておけば、何の苦も無く終わった仕事だったと思いますよ。
お客さんと営業マンのコミュニケーション。営業マンと現場のコミュニケーション。
朝の「おはようございます!」から始まって、実際に相手の顔を見ながら、
一言づつでも、声を掛け合う習慣が付いていたら、あえて難しく考えなくても、
簡単にコミュニケーションなんて出来ちゃいますよね。
コミュニケーションが良好ならば、つまらんミスなんて、かなり防ぐ事が
可能だと思います。・・・かと言って、書面で指示しなければイカン事を、
口頭で済ませるように成ってしまっては、これまたアカンのですけどね。