「猫物語」西尾維新著 講談社BOX を読了です。
気が向きましたので、というより、かなり衝撃を受けたので感想を書かせていただきます。
「猫物語」は西尾維新さんの「化物語」から続くシリーズものの一作です。
正確には「猫物語(黒)」と「猫物語(白)」がありまして、シリーズ内の時系列で言いますと
「傷物語」→「猫物語(黒)」→「化物語」→「偽物語」→「猫物語(白)」
となります。
黒の方は、ヒロインの一人(と私は思っています)である羽川翼のゴールデンウィークでの物語りです。「化物語」でもちょくちょく出てきた話ですね。
冒頭は、主人公阿良々木暦とその妹月火ちゃんの雑談が延々と80ページ続きますが(^^;)、それを乗り越えるといよいよ本格的に物語がスタートです。
冒頭の雑談を読んでいると、作者は月火ちゃんがお気に入りなのかなあと思っていたのですが、考えてみれば、この話の段階では登場人物が主人公とその妹2人と羽川翼だけなので、作者の好きな雑談で盛り上がる会話の人物と言えば、主人公と妹くらいなものですからね。
黒の話は、時系列としてはその後の話である「化物語」でも出てきていたので、詳しくはこういう話だったのかあというくらいの感想でしたね。
ただ、メインヒロインである羽川翼のことは、「化物語」を読んだ段階では正直あまり好きな登場人物ではなかったのですが、「偽物語」を読んで、ちょっと印象が変わり、そして、この「猫物語(黒)」を読んで、かなり好きな登場人物になりました(*^.^*)
そして、白の方についてですが、この話の語り部は羽川翼です∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
これにまず衝撃を受けたと同時にやられた(><)と思っちゃいました。
これまではずっと阿良々木暦が語り部だったのですからね。
それだけで、かなり話の印象が変わるのですが、それ以上に外から見たと言いますか、客観的に見た阿良々木暦はだいぶ違った感じを受けますね。
それに、羽川翼も阿良々木暦からのイメージと本人が語り部となった際のイメージは違いますね。まあ、人なんてそういうものなんでしょうが、その対比みたいなのが面白いです(^^)。
さて、白は副題が『つばさタイガー』というように虎の怪異が出現します。そして、まずは羽川翼の自宅が火事で無くなってしまいます。それで、羽川翼はまずは野宿しようとして、その後戦場ヶ原ひだきの家に泊まることになるのですが、そのときの2人のやりとりが可愛くて仕方がないですね(*⌒∇⌒*)
細かい話はネタバレになってしまうので書けませんが、このお話で羽川翼がなぜ成績が良くなんでもできる優等生なのかということが分かります。そして、彼女は最後に自分自身に向き合って変わろうとするのですが、そのときに彼女は手紙を残すのですね。
手紙の宛先は自分自身でもある、障り猫なのですが、その手紙の内容がすごく切なくて(><)、もうどうしてくれようかと。いやあ可愛いなあ、羽川翼さんは!
彼女の弱さとそれに向き合おうとする強さは、清々しいですね。
読了後にさっぱりとした気持ちになれるラストでした(^^)。でもそれもこれもシリーズを読み通してこそなので、「猫物語」から読んでここまでの気持ちになれたかどうか分かりません。
白から「化物語」のセカンドシーズンが始まるということです。つまり「猫物語(黒)」までがファーストシーズンなのですね。
白を読むと、どうやら羽川翼は今後の話にはほとんど出てきそうにないようで、それが残念です(ノ_-。)
最近は西尾維新さんばかり読んでいましたので、次は推理小説、有栖川有栖さんの『女王国の城』を読もうと思っています。