綾辻行人著「奇面館の殺人」講談社ノベルス
綾辻行人さんは新本格好きの人なら、知らない人はいないくらい有名な方です。
かく言う私も、綾辻さんは「十角館の殺人」から読み始めてどっぷり新本格にはまったクチですv
さて、読んでみた感想としましては、昔懐かしい新本格の香りたっぷりの作品でした(^^)。
新本格好きなら、読んで間違いないですね!
張られた伏線が回収されて、最終的な謎解きへ続く道はやっぱり良いですねえ(*^.^*)。
新本格系を読み慣れない、もしくは「新」本格と言いつつすでに10年以上たっているので、新本格って何それ?という人には、古臭い上にちょっと口うるさい感じはするかもしれませんが。
今回の舞台は雪に囲まれた屋敷です。いわゆるクローズドサークルといわれる、シチュエーションです。絶海の孤島や、雪山の山荘がその例ですね。
外から他者が入り込めないし、中の人たちも外に出られない状況で起こった殺人事件です。
ただ、この作品は語り手がシリーズで出ている鹿谷門実さんであることと、彼の明るいキャラクタからか、あまり追い詰められている感じがなかったので、ドキドキ感が苦手な私には良かったです(^^)。反対に、クリスティの「そして誰もいなくなった」みたいな追われる感を期待している人には物足りなく感じるかもしれません。
さて、久しぶりの綾辻さんの館シリーズですが、これで9作目とのことです。
全10作ということですから、あと1作を残すばかりですね。
館シリーズを私は全部読んでいたつもりでしたが、どうやら8作目の「びっくり館の殺人」を読んでいないことに気付きました∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
次はこれを読まないと!
なぜ、8作目を読み飛ばしてしまったかと思ったら、久しぶりに出た7作目の「暗黒館の殺人」が私的にあまりにもいただけなくて、次の作品に中々手が出ないまま来てしまったのでした。
そんな私が9作目の「奇面館の殺人」を読もうと思ったかと言いますと、単純に売れていたからですね(^^;)。
きっかけはそんなでしたが、面白く読ませていただきました。
ちなみに著者のあとがきで
『暗黒館の殺人』的なゴシック趣味・怪奇幻想趣味はなるべく抑えめにして、
シリーズ初期のある意味”遊び”に徹した軽やかなパズラー
として、この作品を書こうとしたと書いておりますが、確かにその通りの印象でしたね。
そして、私はやっぱり怪奇幻想趣味は苦手なんだなあと再確認しました。