銀の匙 | 垂水のてるさんの釣りバカ日誌

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投げ釣りファンを増やすため神戸のアラ還釣りバカおじさんがポイントもコツも隠さずつぶやきます。

メンタル的にしんどいことがあって、これまでは釣りをして解消していたが、今回は数年来にひどいやつで、昨日は家を出る気力すらなかった。


それで家にこもって読書した。


積読したままだった中勘助の『銀の匙』を読了した。







10年以上前に買っていたのだが、読み始めてすぐ挫折を何度か繰り返したが今回初めて読み切れた。


そもそもは、ノンフィクションの『奇跡の教室』を読んだのがきっかけである。






中高一貫で、6年間を一教科一教師担当制の灘校の伝説の教室、エチ先生こと橋本武は『銀の匙』だけを3年間かけて読むという型破りの授業を始める。

その授業を受けた昭和43年卒業組は、私立初の東大合格者日本一になり、実社会でも東大総長、副総長、最高裁事務総長、弁護士連合会事務総長、神奈川県知事など各界で活躍する。



そんなわけで高校3年間を『銀の匙』一冊読み続けるほどの魅力がどこにあるのか興味を持ったのだが、思ったより展開が地味で、序盤で飽きて、これまではなかなか読み切れなかった。


しかし、読み切ってみるとなかなか良かった。古い純文学ながら、何派にも属していない独特の作風。中勘介自身の少年時代を少年の視点そのままで描かれている。


ふだんよく読んでいるサスペンスやミステリーがシビ辛中華あるいはトッピング全部のせカレーだとしたら、これは薄味ながら出汁のきいた野菜の炊き合わせのような味わいである。


釣りはできなかったが、長年やり残していたことができてよかったかな。