Franz Doppler: Souvenir du Rigi, Op.34
Pei-San Chiu, flute I-Ping Chiu, horn Chan Mi Jean, piano
今日は、ドップラーの曲を聴きますが、フルートの日ではなく、ホルンの日です。以前に紹介した、ホルンの出番です202 ドップラー「森の小鳥たち~フルートと4本のホルンのための」Op21よりは、幾分純音楽的な作品になります。リギとは、スイスのルツェルンの東方にのぞむ山の名前のようですが、いかにも牧歌的な作品です。
私の住んでいる関東の南部では木の芽が動きだしているのが分かります。桜の蕾は膨らんで淡いピンク色になっているのが分かりますから、開花はもうすぐでしょう。あと少しすれば「山笑う」季節になります。私は、根っからの東北人なのでしょう。この時期になると心が弾んでとてもワクワクします。
この曲を聴いていると、その春を感じます。20年ほど前には大きなカメラを抱えて山に登り写真を撮っていましたのでそのことを想い出したりもします。
曲の話は、余り考えられません。アンコールピースと言うよりは、大曲の合間に入れたら輪郭のはっきりとした舞台になるかも知れません。あなたにも、明るい春が訪れますようにお祈りしております。
※ 以前の記事
① フルートの出番です⑪ ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」
② フルートの出番です㉑ ドップラー「フルートとピアノのためのデュエッティーノ」
<お知らせ>
ドップラー、アルベルト・フランツ/リギの思い出 OP.34(OP.38) Doppler, Albert Franz SOUVENIR DU RIGI, OP.34 (OP.38) |
<解説>
ドップラーの室内楽としては、2本のフルートとピアノによる幾つかの超技巧的変奏二重奏曲が有名ですが、フルートにホルンを加えた編成で牧歌風に自然美を描いた「夜想曲 Op.19」(Fl.Vn.Hr.Pf.)、「森の小鳥 Op.21」(Fl.4Hn.)及びこの「リギの思い出 Op.34」も知られています。この曲は序奏部と主部で構成され、序奏部の導入部は小鳥のさえずる様子をフルートがトリルで美しく歌います。自由なカデンツァを経て、序奏主題をホルンが奏で、続いてフルートとホルンで牧歌と小鳥の饗宴となります。主部の情熱的な主題は、T.ベーム編曲(2Fl.Pf.)によるメンデルスゾーンの無言歌「秋の歌 Op.63-4」を連想させます。後半になるとホルンが美しい響きで牧歌を歌い、鳥が飛び交い、さえずる様子をフルートが奏でる中、鐘の音(Glocken.)が愛らしく「こだま」して、静かに田園詩を閉じます。“Rigi”とはスイスのルツェルンの東方に望むリギ山のことで、風光明媚なアルプスの牧歌を描写した作品です。
Bonnell, Bruce/Bottazzini, Vieri/Green, Peter 、 Bonnell, Bruce 、 Vieri Bottazzini 、 Green, Peter [Piano]
『ホルン、フルートとピアノのための室内楽作品集』
【曲目】
エワイゼン: バラード、牧歌と舞曲
テレマン: 協奏曲 ヘ長調
ドップラー: リギの思い出 Op.34
ミュラー: セレナーデ Op.15
バック: フルートとホルンのための《2-ビット・コントラプションズ》
バルボトゥー: ホルン、フルートとピアノのための《エスキス》
【演奏】
ブルース・ボンネル(ホルン)
ヴィエリ・ボタツィーニ(フルート)
ピーター・グリーン(ピアノ)