フルートの出番です⑪ ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」 | 翡翠の千夜千曲

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      Albert Franz Doppler Fantaisie Pastorale Hongroise: Patrick Gallois

 

  今も時々会う友人は、合唱の大家で全国大会にも出たりしていたが、元はフルート吹き、今はリコーダー吹きで気が向けばコンサートなどもやっているようです。そんな訳で、高校生の頃に彼が吹いていたこのハンガリー田園幻想曲は何回か聞いた覚えがあります。ハンガリー田園幻想曲(Fantaisie Pastorale Hongroise )作品26は、フランツ・ドップラーが作曲したフルートと管弦楽のための作品ですが、ピアノ用の編曲もあり、手軽さも手伝って現在はそちらの演奏の方が多いようです。

  ドップラーはフルート奏者でもあり、作品はオペラやバレエなどかなりの数を残しています。フルートのための協奏曲やフルートのための小品も多く残しています。この曲の、作曲した年と動機については不明ですが、恐らくドップラーがウィーンに移る前に、ブダペスト歌劇場のフルート奏者を務めていた頃だろうと思われています。

  この曲は、3つの部分で構成されています。ロマが好んだチャールダーシュの様式が採り入れられているほか、冒頭部分は音の揺らしやコブシを思わせるような旋律です。序奏はハンガリーと東洋思わせるような旋律で、中間部に入ると長調に転調し、緩やかながらテンポの伸び動きを見せる自由闊達な展開方となっています。フィナーレは舞踏のリズムが効果的に採り入れられ、華やかな展開のままに曲を閉じます。

 

 

      

ドップラー、アルベルト・フランツ/Doppler, Albert Franz
FANTASIE PASTORALE HONGROISE,OP.26
ハンガリー田園幻想曲 OP.26
 

      

ハンガリー田園幻想曲~フルート・リサイタル
工藤重典