ちはやふる 結び
1000年先も、輝き続ける青春映画へ
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監督: 小泉徳宏さん
脚本: 小泉徳宏さん
出演: 広瀬すずさん、野村周平さん、新田真剣佑さん、他
上映時間: 128分
あらすじ: 「今年で最後なんだよ?!」
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「ちはやふる」シリーズ、上の句と下の句はセットでその年の年間ベストに入れたほど、個人的にとても好きなシリーズ。その最終章ということで、初日のレイトで観てきました。
※リンク
てなわけで、「ちはやふる 結び」ですが、
今年のベスト候補キターッ!素晴らしい映画でした!(*´ω`*)
映画.comさんからあらすじを拝借すると、
末次由紀の大ヒットコミックを広瀬すず主演で実写映画化した「ちはやふる 上の句」「ちはやふる 下の句」の続編。瑞沢高校競技かるた部の1年生・綾瀬千早がクイーン・若宮詩暢と壮絶な戦いを繰り広げた全国大会から2年が経った。3年生になった千早たちは個性派揃いの新入生たちに振り回されながらも、高校生活最後の全国大会に向けて動き出す。一方、藤岡東高校に通う新は全国大会で千早たちと戦うため、かるた部創設に奔走していた。そんな中、瑞沢かるた部で思いがけないトラブルが起こる。広瀬すず、野村周平、新田真剣佑ら前作のキャストやスタッフが再結集するほか、新たなキャストとして、瑞沢かるた部の新入生・花野菫役をNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の優希美青、筑波秋博役を「ミックス。」の佐野勇人、映画オリジナルキャラクターとなる千早のライバル・我妻伊織役を「3月のライオン」の清原果耶、史上最強の名人・周防久志役を「斉木楠雄のΨ難」の賀来賢人がそれぞれ演じる。
てな感じ。
いや〜泣き腫らしましたよ(笑)ほんとに素晴らしい青春映画でした。今作は確実に「前2作よりも、すごいものを作るぞ」という作り手の気合と熱をビンビン感じました。最高まで高められ計算された映画的演出の数々、演者たちの素晴らしいアンサンブル、新キャラクターたちの魅力、1000年前から続く百人一首というものへのリスペクトとそれをしっかり物語に落とし込む手腕、そして青春映画としての強度、地に足のついた人間ドラマ、そしてカルタシーンの素晴らしさ、名セリフの数々、そしてここでこそ活きてくる上の句と下の句、などなど、言い出せばきりがないんですが、大好きなこのシリーズの最終章としてほんとに完璧な形でシリーズを終えてくれたなと。「青春映画の金字塔」という宣伝文句は嘘ではなかった!ほんとに「青春映画の金字塔」になっちゃったよ!最高だよ!
今回、太一の物語にしたというのがほんとにグッときてさ。ずっとこのシリーズは千早の物語だと思ってたんだけど、今作を観るといや、ぜんぜん違った!と気づかされましたね。そうだよ!上の句から一貫してこれは太一の物語だったんだ!と。天才2人を幼馴染に持った凡人太一の物語、つまりこれは僕らの物語なんですよね。
太一が進学か部活か、で揺れる、という物語の軸はとてもグッときたなぁ。しかもそこにある千早への思いと、ある種のコンプレックス、将来、そして今までやってきたカルタ、様々な思いが入り混じっててさ、もう中盤の踏切のシーン以降はずっとウルウルしながら観てました。
そんな2人が対峙する踏切のシーン。そしてその後の千早が部室で1人になるシーン。ここはこの映画でもトップクラスの素晴らしいシーンで、今年のベストシーン候補かな。この2つのシーンは撮影、演出、演技が完璧なバランスで混ざり合ったほんとに忘れがたいシーンになったなぁ。この2つのシーンの強度が、作品全体を底上げしてると思います。是枝作品や李作品で鍛え上げられた広瀬すずの繊細な表情の変化と爆発力がいかんなく発揮されてて、この2年の成長を感じ取れました……すごい女優だ……(上から目線w)
部室で1人になった千早が泣くシーンとかさ、あのタイミングで、上の句のフラッシュバックかよ!泣くに決まってるだろ!千早もここで気づいたんですよねぇ、カルタを出来てるのは太一がいたからだった…ということに。はぁぁ泣かすねぇ(´;ω;`)
そんな迷いまくり、悩みまくりの太一がさ、名人のもとで修行してくシークエンスもすごくよくて、またこの名人がいいキャラクターでさ。師匠と弟子ものとしてもすごく良かった。新キャラクターの描きこみが素晴らしかったですよね。新のチームの女の子とかもすごくよかった。
そんな悩みまくってた太一がさ、「守りのカルタ」というスタイルを身につけるというクライマックスもすごくグッときたなぁ。今まで千早を思い、千早とカルタを守ってきた男が、最終的にたどり着くのが「守りのカルタ」なんてさ、すげぇ感動的だよ!
クライマックスの対決はほんと素晴らしくて、音響と撮影、そして役者の演技・表情が、今までの集大成的にスパークしててほんとに感心しきり。ここだけじゃないけど、映画館でこそ映える演出のつるべ打ちなんですよねこの映画。「ああ!千早は太一の名前の入った紐をつけてたのか…」とかさ、細かいところの演出も素晴らしいんだこれ。
「しのぶれど」と「恋すてふ」のまさに1000年という時を超えた運命戦のラスト、太一の決断と、勝負が決まる瞬間の美しい構図!この「しのぶれど」と「恋すてふ」がどんな句なのかっていうのも、ちゃんと事前に観客に説明してくれるし、しかも、この「しのぶれど」と「恋すてふ」という2つの句を「ちはやふる」という物語に完璧に落とし込む手腕!なんなんだよまじで!(笑)すごいなぁ!
1000年という時間の使い方もすごく良くて、舞妓はレディちゃんが説明してくれる1000年前の様子がアニメーションで描かれるんですよね。そのアニメーションもすごくいいし、なんといっても最後の最後、千早たちがその1000年前と同じタッチのアニメーションで描かれるんですよね。これすごくよくてさ、この瞬間に「あぁこの物語も、1000年後に語り継がれる物語になっていくのかなぁ。そうなってほしいなぁ。」と、最後のアニメーションを見て思いましたよ。大袈裟かもしれないけど、まぁ正気を保っているのはちょっと難しいくらい、この「ちはやふる」というシリーズが大好きになってしまったなぁ。1000年という長いスパンの物語と、青春という刹那的な輝きを持つ物語が見事に混ざり合いましたね。
この1000年という時を経たカルタを最終的に次の世代に繋いで行きたいというところにたどり着く最後の千早の凛々しい横顔の美しいことよ……。青春は一瞬だけど、未来は無限。青春で物語が終わらない。ちゃんと未来に開かれて終わるのがとても良かった。どうかみんなが元気に今後も未来を生きていけますように…そんなことを思いながら最後の千早の横顔を涙しながら観てました。
まだまだ素晴らしいところは多々ありましたが、なんせこの映画すごく情報量が多いし、素晴らしいシーンしかないので、また上の句から見直して、2回目を観に行きます!大事なところが、上の句下の句と呼応してるんだよねぇ〜ドアノブに泣かされる日が来るとは!どのキャラクターもちゃんとみんな成長してるんだよねぇ。おざなりなキャラクター描写がまったくない。ここに作り手の愛を感じます。
ほんとに素晴らしい青春映画をありがとう!大傑作!!僕は君たちが大好きです。
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好き度: 100点
今年のベスト候補です(`・ω・´)キリッッ
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