2022年09月09日(金) 曇時々雨→晴
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トーハクは今年創立150年を迎えるそうで、その記念事業の一つとして研究員イチ押しの「未来の国宝」の展示があります。
彫刻分野でのイチ押し「菩薩立像」をじっくり味わってきました。
既に重文指定はされています。
重要文化財 菩薩立像
鎌倉時代・13世紀
木造、金泥塗・彩色・截金(きりかね)、玉眼、唇に水晶
『鎌倉時代には仏像に現実感を持たせるためにさまざまな工夫が凝らされました。
本像は目や唇に水晶を嵌めているのが特徴です。
また金粉を膠で溶いた金泥を肌に施して自然な輝きを放ち、いっそうの現実感を与えています。
制作当時の鮮やかな色彩や金泥が残る貴重な作例です。(トーハク 解説文より)』
鎌倉時代の仏像というと運慶の血管が浮き出た筋骨隆々の表現をイメージするけど、こちらの菩薩立像はとても繊細。
唇には水晶が使われていて、まるで歯がキラっと輝いているように見えます。
菩薩の衣装を見ると、頭部の宝冠、瓔珞(ようらく)と呼ばれる胸飾(むねかざり)がすっごく繊細。
上半身を巻く細長い条帛(じょうはく)は左肩からかけて右脇の下を通し背中側からまた前面に持ってきて、最初に左肩から右脇の下へ通した布の下に潜らせて垂らしています。
腰から下に巻く裳は石帯という紐で結んでいます。
裳には截金が施されているのかな。布地の柄がリアル!
そして、肩から手に優美に天衣(てんね)をかけていますね。
正面から見た繊細さと優美さから、女性のように思えるけど、菩薩は男性、女性を超越した存在。
菩薩像如来像のように出家者の姿ではなく,出家をする前のインドの貴族(王族)の姿をしています。
後ろ姿がまた感動的!
腰布の紐をキレイに蝶結びしてますね~。
少しからだをくねらせた艶めかしい曲線が、女性的。
右側からのショット。
手の所作が優雅。
右側からのショット。
思索を巡らせているようなこの表情。
男顔だわ~。
こちらの菩薩立像を四方から見て、菩薩が男性、女性を超越した存在であることがよ~く分かりました。
そして、なんて繊細な彫刻なんだろ。
菩薩の装束をじっくり味わえました。
でも後ろ側が暗くて、条帛(じょうはく)や裳の着付けがどうなっているのか、はっきり分からなかったので、もう一度、じっくり見たいです。
展示期間中にまた、会いに来よう~。
※ 菩薩立像は、2022/08/30(火)から2022/12/25(日)まで本館 11室で展示