9/6(金) 山中常盤物語絵巻(第一巻~第六巻) @MOA美術館 | そんな感じ。 since March 28, 2005

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2019年09月06日(金) 晴

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今日は特別展「奇想の又兵衛 山中常盤物語絵巻」を見に来ました。

 

「山中常盤物語」は義経伝説に基づく御伽草子系の物語。

奥州へ下った牛若を訪ねて都を立った母の常盤御前が、山中の宿で盗賊に殺され、牛若がその仇を討つという筋書き。

 

「山中常盤物語絵巻」は12巻からなり、全長150mを超えるそうですが、展覧会では全巻展示!

すべてMOA美術館の所蔵です。

 

今日は重要文化財の「山中常盤物語」を現物の絵巻物を見ながら読むという(勿論、現代語の解説を見ながらですが。)、贅沢な時間を過ごしてわくわくが止まりませんでした♪

 

【第一巻】

 

 

おごる平家を討つために、源氏の御曹司牛若は十五歳の春、奥州の藤原秀衡(ひでひら)を頼み、東国へ下る。

この絵を見て、「どっちが牛若?」と思っている私はヤバい。

赤い着物が牛若。 なんたって源氏の御曹司だからね。

ひれ伏しているのが秀衡。

 

 

なんたってこの歓待振りですよ。

それにしても金箔を張り巡らせた襖がすごい。

 

 

牛若の行方が知れず、ふさぎこむ母の常盤御前。

神仏に唱えていたところ牛若から文が届き、自分も東国へ下る決意をする。

 

【第二巻】

 

春の半ば、常盤は侍従を従え東国へ下る。

常盤は十二単、侍従は五重ね小袖という出で立ちで、住み慣れた紫野の御所を後にする。

 

 

賀茂川を越え、白川を渡る常盤と侍従。

多分、白い上着を召しているのが常盤。

春先でまだ寒い時期とはいえ十二単で旅に出るって無謀じゃない?

着物だけで20㎏はあるんでしょ?

高貴で、ほとんど運動しない常盤では、10歩を歩けばぜ~ぜ~しそう。

裾が濡れれば、重さ倍増でしょうに・・・。

(って、ここは母の深い愛情を感じるシーン?)

 

【第三巻】

 

 

牛若を思い、涙ながらに瀬田の唐橋を渡る。

本当に泣きながら渡っているんですけど、周りの人をみても、こんなに着ぶくれしている人は一人もおらんわ・・・。

 

 

草津の宿を行く。

関東人なので、草津といえば、群馬県の草津温泉のことだと信じて疑わない。

「ふ~ん、草津を通って、奥州に行くのね。 お店の人は蕎麦を打ってるのかしら。」と思っていたら、なんと!

滋賀県、近江の国の草津宿のことだわ!

因みに温泉はでないらしい。

琵琶湖の南端の「瀬田の唐橋」から、琵琶湖の南東の草津までやって来たようだど先はまだ、まだ、まだ、長い。

 

やっと二人は山中の宿(現在の岐阜県関ヶ原町)に辿りつくと、常盤は旅の難儀と牛若恋しさに身も心も疲れ果て、重い病の床につく。

 

【第四巻】

 

山中の宿に住む六人の盗賊は、常盤と侍従を東下りの上臈(じょうろう)とみて、美しい小袖を盗もうと謀る。

 

 

夜中に押し入った盗賊たちは常盤と侍従の着ている小袖までも剥ぎ取る。

常盤の「あれぇ~~~」という悲鳴が聞こえてきそうな絵。

それにしても、粗末な身なりに着替えて旅をするくらいの智慧はなかったのだろうか。

 

 

常盤は肌を隠す小袖を残すがなさけ、さもなくば命もとってゆけと叫ぶ。

 

 

「小袖を残すがなさけ、さもなくば命もとってゆけ~」なんて常盤が言うものだから、

 

 

せめくちの六郎が立ち帰り、常盤の黒髪を手に巻き、刀を突き刺す。

髪を手に巻きつけてるところが、なんとも残虐なんだわ。

刀を刺すせめくちの六郎の表情が恍惚としている。

常盤の肌が青ざめている。

 

 

侍従は常盤を抱き、さめざめと泣く。

縁側に転がった桶やお椀、血の描写がなんともリアル。

 

盗賊は常盤にすがる侍従も殺して逃げ去る。

 

【第五巻】

 

第五感は常盤と侍従が事切れるプロセスを、細かく、何カットも描いている。

座敷では常盤が騒ぎに馳せつけた宿の主人と女房に介抱されながら、自らの出生と事の次第を打ち明けて息絶える。

かたや侍従は土の上で、腰巻一枚で、出血と痛みに、もだえ苦しみながら、死んでいく。

 

 

宿の主人に問われ、常盤は自らの身分と名を明かす。

 

 

宿の主人は高貴な常盤が侍従以外に供を連れていないことを訝しまれ、常盤は「恥ずかしながら・・・」と、源義朝(みなもと の よしとも)の妾になり三人の子供をもうけたが、生き別れてしまった。

十五歳の牛若が奥州にいるとの文をもらい、逢いに行く途中で強盗に襲われたと語った。

 

 

常盤はいとしい牛若が都へ上る折に守ってやりたいので、道端に土葬にし高札を立てて欲しいと宿の主人に頼み、形見の品を預け息絶える。

 

 

宿の主人は常盤の遺言どおりに、常盤と侍従を街道わきに土葬して高札を立てる。

 

一方、秀衡の館の牛若は母の常盤が夢にうつつに現れるのが気にかかり、館を忍び出て京へ上る。

 

 

牛若は常盤が襲われたその夜、山中の手前わずか三里の赤坂に宿をとる。

 

 

牛若は山中の宿のはずれで、新しい塚の高札に「都の上臈ただ二人」とあるのを見て、訝る。

 

【第六巻】

 

牛若は奇しくも山中の宿まで来て常盤の襲われた宿に泊まることになる。

その夜、夢枕に立った母常盤の姿や言葉を不審に思い、宿の主人に尋ねる。

 

 

 

牛若は事の次第を聞き、嘆き悲しむが、心をとりなおし、宿の主人と女房の助けをかり、宿に盗賊をおびき寄せて討ち取ろうと謀る。

牛若は女房に頼んで、座敷いっぱいに派手な小袖や黄金の太刀を掛け並べる。

 

(つづく)