私が脳梗塞になって
2年2ヶ月が経つ。
この雛人形
今年は昨年末に店を畳んだ
実母ジツボンヌが
広くなった店内で
飾ってくれている。
私が飾るの大変だろうと
思ったんだろうし
自分の思いの詰まった雛人形を
しっかりと目に焼き付けて
おきたかったんだろうな。
私が産まれた翌年に
買ってくれた雛人形。
八段飾りでとても豪華だった。
私が嫁ぎ
娘たちが生まれた時
今は大掛かりなものより
コンパクトで
出し入れしやすい方が
ええやろうから
新しいのを買おうねと
言ってくれたジツボンヌ。
え〜これがいいよ。
私は即答して
娘たちが産まれてから
八段飾りを飾ってきた。
めちゃめちゃ重いし
飾りも細かくて多いし
完成すると全体的に
幅も奥行も相当あり
出すのも片付けるのも
ほぼほぼ一日がかり。
途中からは
上の段だけを玄関先に飾るのが
毎年のパターンになった。
親王(男雛と女雛)
三人官女
五人囃子
随身(右大臣と左大臣)
仕丁(五人)
鏡台、箪笥、重箱、長持ち、御所車
などなどなどなど・・・。
子供の頃は
それらを触るのが大好きで
家具の引き出し開けては
好きな男の子の名前を
書いた紙を入れたり
爪楊枝を重々に入れて
開けなくしてしまったり。
右大臣か左大臣か忘れたけど
どちらかが色黒だから
もう1人も色鉛筆の茶色で
塗ろうとしたり。
一番誰も気づかなかったのが
三人官女の真ん中の女性が
眉毛がなくて
私はてっきりメーカー側の
落ち度だと思い込んでた。
誰かに言うと
メーカーさんが叱られるから
内に秘めたまま
毎年せっせと
鉛筆4Bで眉毛を描いてた。
毎年片付けるときに
ジツボンヌが人形たちの顔を
乾いた布で拭いてくれるから
眉毛が取れてたもんな。
その女性は一番年長者なので
眉がないのだという
真実を知ったのは
中学の時だったかも。
え、みんな知っとたん?
知らんの私だけなん?
妙に恥ずかしかった覚えがある。
雛人形は
3月3日に片付けないと
結婚するのが遅くなると
昔はよく言ってた。
もし当日が無理なら
人形を後ろ向きにしておくといいと
誰かに言われたことがあって
ホンマかいな
と、思いながらも
当日の夜、雛人形の前に立ち
夜23:59:55になると
急いで男雛と女雛を
後ろ向きにしていた。
一度うたた寝して
はっと気づいたとき
時刻は翌日の1:35になっていた。
朝、起きてきた娘たちに
申し訳ないと謝ると
次女アーノルドが
どうしてくれるん
百円くれたら許したるわ
あーーー
ずっと独身でどうぞ。
でもきっと私も
夜になったら
ジツボンヌに電話して
片付けるか
ひっくり返すか
してね!絶対よ!
と、電話しそうやな。