「日陰」 or 「日影」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

前回ちらっと「ひなた」の対義語は「日陰」と書いたので、ついでに記事にしておきます。

 

相当前に「陰」と「影」の使い分けについては記事にしていて、改訂での変更もないのですが、どうにも私はこれを間違って表記しそうになってしまいます。

 

現代「ヒカゲ」が使われるときの意味は大抵、「ひなた」の対義語である「物の陰になって日光の当たらない所」のときと、「表立って活動することのできない地位や境遇。また、世に埋もれていること」(意味は全てデジタル大辞泉より)のときなんですけど、辞書を見てみますと、それは両方とも「日陰」の場合の意味になっています。私はこれを長いこと「日影」と認識していました。

そして、本来の「日影」はどういう意味かというと、「太陽の光。日ざし」(デジタル大辞泉より)なのです。「日陰」とはむしろ逆の意味なのです……!!

 

この「日影」は、デジタル大辞泉における用例が永井荷風の作品からの引用なので、多分現在ほぼ用いられることはないのではないかと思われます。

ただし、私のように間違って覚えている人もいるので、表記自体を見かけることはそこそこあるでしょう。

そして、建築基準法における建物の日照時間に関する規制は「日影規制」になっていますし、もしかしたらそのうち日本語としてのルール自体が変わって「日影」も「日陰」も同じ意味に変化してしまうなんてこともあるかもしれませんね。