旧ルールのときにも記事にした言葉です。前は全て平仮名表記でしたが、今回の改訂で漢字と平仮名の使い分けが必要になりました。
用字用例辞典には、「あたり」は「時、人、事柄」のときであると記載されており、「辺り」には意味について何も記載がないですが、辞書には、「あたり」の項では「ある地点の周囲。ある範囲の場所。付近。周り」「場所・時・人・事柄・数量などをはっきり示さずに、婉曲に言い表す語。多く、名詞の下に付いて接尾語的に用いる」(デジタル大辞泉より)と二つの意味が記載されています。
一見前者の意味が用字用例辞典の「辺り」、後者が「あたり」のようにも見えますが、「あたり」は用字用例辞典で「時、人、事柄」と明記されていますことから、「場所・時・人・事柄・数量などをはっきり示さずに、婉曲に言い表す語。多く、名詞の下に付いて接尾語的に用いる」から「場所」を除いたものが平仮名表記であると解釈すべきでしょう。
以上、ここまでだけなら今回の改訂の中では簡単なようにも見える言葉ですが、ただ、この記事は、私が4月中に書きかけて1回消したものなんですよね。
というのが、用字用例辞典「辺り」の項に記載されている「その辺り」という用例です。この使い方は、例えば「マスクが不足しているとか、そのアタりの話」みたいな言い方で、場所でない場合でも用いられます。以前、どの記事か忘れたんですが、こういう場合に両方の項目に用例が記載されていたものがあって、私はちょっと迷った挙げ句、書きかけた「あたり」の記事を消したのでした。
それで、私個人的には上記のマスクの例のときは平仮名かなと思っていたんですが、旧記事のコメントで速記協会にお問い合わせされた結果を教えてくださった方がいらっしゃいまして、それで謎が解けたため改めて本日記事にいたしました。
以下、旧記事にコメントいただいた、速記協会のお答えを転載させていただきます。
*******
「辺り(読みはアタリ)」を「辺(ヘン)」に置き換えて「この辺」「あの辺」「どの辺」とした場合、違和感がないようならば「辺り」でよいでしょう。
「アタリ」の前に指示代名詞がつく場合は「漢字」と考えてよろしいと思います。
≪これらの例に沿わず「そのあたり」と平仮名表記する場合もあるのでしょうか。≫
→思いつきません。
*******
というわけで、「その辺り」などは、場所を示すものでなくても漢字表記でよいようです。
非常にすっきりしました!!
kododama 様、お教えいただきまして本当にありがとうございました。