【新訂にて変更】複合語の送り仮名について | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

先週連続更新しましたので何となくお分かりの方もおられるでしょうが、ようやく仕事が落ち着きました!! 5か月ぶりに締切りのない1日をだらだらごろごろして堪能しました。天国です……。(※もちろん掃除はしていない)

これからはしばらく平日午後0時の定期更新ができると思います。よろしくお願いいたします。

なお、しばらくは新訂のルール変更についての記事になるかと思います。

早く皆様の生活も元どおりになりますように。

 

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この間からの記事で、頻出語が相当数変更されているという旨記載しましたが、その最大の原因は、用字用例辞典の冒頭に記載されている表記の基準が変更されたことでしょう。

特に、12ページにあります通則6、複合語の項ですが、「複合語の送り仮名は、その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名のつけ方による」が個人的に大きなものだと思っています。

ここに記載した通則自体は変わっていないんですが、その最後に「許容」として、その活用のない語については送り仮名を省ける語が許されるとあり、その例がほぼ1ページに渡って示されています。ここが非常に大きいです。この例だけで200近いです。しかも「例」ですからこれだけではないのです。

 

具体的にいいますと、複合語というのは「書く」+「抜く」=「書き抜く」みたいなやつですね。この例でいうと、「書く」と「抜く」それぞれの送り仮名をそのまま表記するのが、用字用例辞典における複合語の基本ルールです。

ところが、例えば「話す」+「合う」ですと、それが上記記載の「許容」のルールに引っかかって複雑なことになります。

 

まず、複合動詞の「話し合う」ですが、これは活用があるので、「許容」のルールに含まれないため、そのままです。

そして問題なのが活用のない複合形容詞の「話合い」です。こちらは「許容」のルールに含まれているため、複合動詞では存在した送り仮名の「し」は記載しないことになっています。

 

ここで面倒なのが、複合動詞の「話し合う」も活用したら「話し合い」になることです。

小学生のときに習った未然形や終止形を思い出してほしいのですが、「話し合う」を活用すると、「話し合わない」「話し合います」「話し合う」「話し合えば」「話し合おう」になりますね。この2番目の連用形のときが、複合形容詞の「話合い」と同じ音になります。

 

つまり、新版の用字用例辞典のルールでは、

 

例)みんなで話合いをしよう。(複合形容詞)

  みんなで話し合いましょう。(複合動詞)

 

のように、同じ意味、同じ音なのに表記が分かれるということです。これまで一緒だったものを、しかも意味ではなくその品詞の分類によって分けないといけないのです。ちょっとぼうっとしていたら書き間違うこと請け合いです。

さらに、この非常に分かりにくい表記は、先ほど用字用例辞典の冒頭で200近く例が挙げられていると記載しましたが、この「話合い」のほかには、「打合せ」「売上げ」「受入れ」「埋立て」「貸出し」「飲物」等々、頻出語が大量に含まれていますから、一つの仕事で必ず含まれていると思っていたほうがよいでしょう。

そして、この記事の数行前の「請け合い」のように、「許容」に含まれない言葉ももちろん大量に出てきますから、混乱すること間違いなしです。

 

すぐに覚えるのは非常に困難ですから、用字用例辞典で一つ一つ確認するしかないのですが、取りあえず単語登録をすることである程度は用字用例辞典をめくる手間が省けるかと思いますので、その作業がまだな方はまずこの「許容」される表記だけでも行うことをお勧めいたします。

 

※純粋に日本語としては、送り仮名ありなしどちらでも間違いではありません。念のため。新訂の用字用例辞典におけるルールです。