去年「軟こう」を記事にしているのですが、この「膏」の字を用いて表記できる言葉はほかにも幾つかあります。
例えば、「軟こう」の関連で「こう薬」、全く関係なく「石こう」があるんですが、これらは用字用例辞典においては全て「軟こう」同様に「こう」は平仮名表記です。
こういうのを見るとつい、「ああ、「膏」は用字用例辞典では平仮名表記をするものなんだな」と思いがちですが、きょうの記事が「表記の使い分け」のカテゴリーに分類されていることからもおわかりでしょうが、そうではないものもあります。というか、私が用字用例辞典を引いて調べた限りでは、「病膏肓に入る」のみです。(2021年8月追記:「ばんそうこう」もでした)
これは中国の故事成語でありまして、「病気がひどくなり、治療しようもない状態となる」「物事に熱中して抜け出られないほどになる」(デジタル大辞泉より)という二つの意味を持っています。言葉自体は「病」ですから、後者は何となく依存症的な悪い意味に捉えてしまいそうですけれども、デジタル大辞泉では例示として「付き合いで始めたゴルフが今や―・ってしまった」と、もうちょっと軽い感じの文章が記載されていますので、ちょっと激し目にのめり込むぐらいの意味でよいようです。