これまでにもこのブログで何回も出てきましたが、ちょっと前の記事の「市政」と同様、正確に言うと使い分けではなくて意味が異なる言葉二つで、同じ読みで漢字の一つが同じであることから、変換ミスを見逃しがちになるものです。
辞書で意味を調べますと、「基軸」は「思想や組織などの根本・中心・基準となるもの」、「機軸」は「機関や車輪などの心棒」「物事の中心となるところ。活動の中心」「根本的な仕組み。構想。方法」「地球の自転の回転軸。地軸」(全てデジタル大辞泉より)です。
「機軸」のうち「機関や車輪などの心棒」「地球の自転の回転軸。地軸」は間違いようがないとして、「物事の中心となるところ。活動の中心」「根本的な仕組み。構想。方法」と、「基軸」の「思想や組織などの根本・中心・基準となるもの」は、「機軸」のほうが活動や仕組み、方法などやや具体的なもののようですが、意味が似ていてなかなか正しい表記をしづらいように思えます。
いつもこのブログでは、用字用例辞典が簡潔過ぎてわからず辞書で意味を調べて書き分けのポイントが判明するという流れなのですが、この言葉に限っては、用字用例辞典の記載のほうがシンプルでわかりやすいように思えます。用字用例辞典では、「基軸」の意味は「基本、中心」で、例として「基軸通貨」「~を基軸として」が挙げられています。また、「機軸」のほうは、「意味は「活動の中心、計画」で、例として「新機軸を出す」が挙げられています。
この例に注目してさらに国会議事録を検索しますと、この記事を書いている時点での過去5年分の検索結果は、「機軸」が13件でその全てが「新機軸」、そして「基軸」が300件で、そのうち「基軸とする」「基軸にする」の活用形が合計109件、「基軸通貨」が24件の、合計133件でした。
つまり、用字用例辞典に挙げられている例がかなりの割合を占めている(「機軸」のほうは「新機軸」が100%)ということです。
というわけで、とりあえずこの言葉は「新機軸」「~を基軸として」を覚えておけば、ほとんどオーケーということが言えるのではないかと思います。そうではなくてどうにもわからないときには、その前後のてにをは等を入れて、国会議事録で検索してみることをお勧めします。(ざっくりイメージで使い分けはできるのですが、私の知識では具体的にどう説明していいのかわかりません。申しわけありません)