「不要」 or 「不用」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

「フヨウ」というと、恐らく「不要」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。あるいは、今回の記事では無関係ですが、「扶養」か。

むしろ「不用」はどんなときに使うのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし用字用例辞典を見ますと、「不要」と「不用」は別々に項目立てされており、意味も異なります。そのまま引用しますと、「不要」は「不必要」で、「不用」は「使わない」です。何か似たような意味のような印象も受けますが、きちんと使い分けなければなりません。でないと違う意味になってしまいます。

通常の会話では圧倒的に「不要」のほうの出現頻度が高いのですが、例えば地方自治体で多く用いる用語で、入札が低価格だったなどの何らかの理由で予算が余ってしまった場合、その金額を「不用額」といいまして、予算の話では「不用」を多く用いることになります。うっかり「不要」と書いてしまいそうになりますが、これは「結果として使わずに済んだ額」であり、例えばもし入札価格がもっと高ければ必要な額だったわけで、「不必要な額」では決してないですから、「不要額」と書くと誤りになります。

 

さて、この間違いがちな「不用額」は、ある言葉を知るともっと間違いがちになります。それは「所要額」です。

ざっくり言うと「必要な額」という意味ですが、これが予算の話になると「不用額」と一緒に出てくることがあります。

さらに、これは大分前にこのブログで触れたことがあるんですが、「ショヨウ」と発音する言葉には「所要」のほかに「所用」があります。「所要額」だけなら、「所用」では意味が明らかにおかしいですから間違うことはまずないんですが、「不用額」と「所要額」がともに何回も何回も出てくると、そのうち「ショヨウ額」も「フヨウ額」どちらも「あれ、ヨウはどっちだったかな」と混乱してしまうという事象が発生します。

 

というか、そうなってしまったのがまさに昨年12月からことし1月にかけての繁忙期の私です。今後より気をつけなければなりません……。