映画「アーティスト」を観た。
アカデミー賞〈作品賞など5部門〉受賞、サイレント映画、タップダンスが観どころという宣伝文句につられ銀座で観てきた。
自分の勝手な予想では、サイレント映画なのでタップダンスシーンがたくさんあるだとうろ思っていたが、タップダンスシーンは最後の5分だけ。
当然ながら最初から会話の声の出ていないサイレント映画なので一瞬大丈夫かなと思ったが、20分もするとぐいぐいと映画の中に引き込まれていく。物語の内容は、1927年から1932年までのハリウッドを舞台とし、トーキーの登場でサイレント映画の時代が終わったことで没落する男優と躍進する女優を描く物語だ。
今までドラマを観る時に役者が台詞を言って物語の内容を理解すると思っていたが、会話がなくてもほとんど物語の内容は理解できた。もちろんところどころで会話の後に画面に字幕が出てくる。ただその字幕が出ないシーンもたくさんあるが、物語は理解できる。表情でイエスかノーは分かるし喜び悲しみ怒りも分かる。
どこかで聞いたことがあるが、人間は伝えたいことの半分以上は言葉以外で伝えているらしい。それが、この映画を観てよく分かった。
言葉には力があると思っていたが、言葉以外にも力はある訳だ。
そして主役のジャン・デュジャルダンがかっこいい。甘いマスクと渋い表情で役者らしさを感じる。
ヒロインのベレニス・ベジョもめちゃくちゃ可愛い。ブログを書くに当たってプロフィールを調べてみて驚いた。映画の中では20代前半の役を演じており、てっきり実年齢も20代前半かと思っていた。実際は、35歳だという。わちゃ~、調べない方がよかった。
肝心の最後のタップダンスシーン。
これも宣伝で聞いたのだが、タップダンスシーンにはかなり時間を使ったとのこと。
確かによく練習をしていて決めるところは決めていて、観ていて気持ちのいいタップダンスだった。おそらくタップダンスを全くやったことない人にとっては、上手に踊っていると映るはずだ。
ただ僕程度(ごくごくタップダンス初心者)でも、タップダンサーの踊りでないことは分かった。
1930年代という時代背景もあると思うが、シャッフルをふんだんに使うシアター系のタップダンスで、ところどころにシムシャムのブレイクするステップが入ってくる。
観ていて「あ、ここ知ってるー。」という親近感が沸いてくる。でも、二人の俳優さんはそんなにタップダンスを何年もやってきた訳ではないと思うが、それでもあそこまで踊れれば楽しいだろうなと思う。十分、サマになっている。今の僕にはまだまだ踊れそうもない。。。(涙)
昔、永ちゃん(矢沢永吉さん)の武道館ライヴを観に行った後に、ロックの演奏ではジャズほど難しい演奏はしていないと思ったので、ミュージックスクールの先生に質問したことがあった。
「永ちゃんがやっているロックって、演奏者がやっていることは音楽的にはそれほど難しいことはやってないですよね?」
先生は、「その難しくないことをかっこよく聴かせるのがプロなんですよ。実は、それが一番難しいんですよ。」とのこと。
なるほど。。。
この映画のタップダンススーンは、正にそれだった。
難しくないタップダンスをカッコよく魅せる。
難しくないタップダンスを楽しく魅せる。
やっぱり難しいんだー。
映画館から出ると何だか得をした気分になれる。