12月27日の記事 で、Vanguard Emerging Markets Stock Index Fund という、新興国株式(MSCI エマージング・マーケット・インデックス)を投資対象にしたインデックスファンドを取り上げました。残念ながらこのファンドを日本で直接買うことはできません。セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドトヨタアセット・バンガード 海外株式ファンド に組み込まれているので、間接的になら日本でも買うことはできます。


新興国株式(MSCI エマージング・マーケット・インデックス)へのエクスポージャーを求めるなら、Vanguard Emerging Markets ETF(VWO) という選択肢もVanguardは提供しています。こちらは日本でも直接購入することができます。SBI証券 、マネックス証券、楽天証券が取り扱っています。


実は、この投信とETF、同じファンドなのです。Vanguard Emerging Markets Stock Index FundのProspectus(目論見書)を読んでいて気づきました。


基本になるファンドはVanguard Emerging Markets Stock Index Fund(基本ファンド)です。このファンドは3種類の受益権(株式)を発行しています。それらは:


Investor Shares (VEIEX) : 一般向け、投信型受益権
Admiral Shares (VEMAX) : 長期・大口投資家向け、投信型受益権
ETF Shares (VWO) : ETF型受益権


つまり、Vanguard Emerging Markets Stock Index Fund(VEIEX, VEMAX)を購入することは、基本ファンド(Vanguard Emerging Markets Stock Index Fund)の投信型受益権を購入することです。また、Vanguard Emerging Markets ETF(VWO)を購入することは、基本ファンド(Vanguard Emerging Markets Stock Index Fund)のETF型受益権を購入することなのです。


次回の記事で、それぞれの受益権の特徴をコメントします。

特に、①と②は、「Conversion Privilege」という、リレー投資にとても役立つ機能を持っています。


日本のインデックス投信の低コスト度は世界レベルか?2回目は新興国株式に投資するファンドを比較します。日本代表はSTAM 新興国株式インデックス・オープン。ファンドバンクのコスト比較700 で一番安そうだったので、これにしました。比較対象は、アメリカのVanguard Emerging Markets Stock Index Fund です。


どちらもMSCI エマージング・マーケット・インデックス(the MSCI Emerging Markets Index)に連動する運用成績を目指すインデックスファンドです。


以下、目論見書(= Prospectus)からのデータです。


STAM 新興国株式インデックス・オープン
販売手数料:なし
信託報酬:0.8715%
信託財産留保額:0.3%
買付単位:1万円以上1円単位


Vanguard Emerging Markets Stock Index Fund
Sales Charge (Load): None
Purchase Fee: 0.25%
Operating Expenses: 0.37%
Redemption Fee: 0.25
Account Service Fee: $20/year
Minimum Initial Investment: $3,000
Additional Investment: $100


結論
日本の新興国株式のインデックスファンドの低コスト度は世界レベルではない。もう少し安くできるはず。


コメント


買付時にかかるコスト
STAM 新興国株式インデックス・オープンの販売手数料はゼロ。文句なしです。

Vanguard Emerging Markets Stock Index Fundも販売手数料(Sales Charges)はゼロです。しかし、Purchase Feeが0.25%かかります。したがって、買付時にかかる費用の観点からは、STAM新興国株式インデックス・オープンが優位です。


保有中にかかるコスト
STAM 新興国株式インデックス・オープンの信託報酬は0.8715%。 

Vanguard Emerging Markets Stock Index Fundの信託報酬(≒ Operating expenses)は0.37%。VanguardはSTAMの半分以下です。


信託報酬に加え、Vanguard Emerging Markets Stock Index Fundには口座維持手数料(= Account Service Fee)が$20/yearかかります。ただ、1) 取引をネットですることと、2) 各種報告書をEメールで受け取るようにすることの2つの条件を満たせば、この手数料は無料です。ネット証券の利用者は、気にする必要ないです。

よって、保有時にかかるコストの観点からは、Vanguard Emerging Markets Stock Index Fund優位です。


売却時にかかるコスト
STAM 新興国株式インデックス・オープンの信託財産留保額は0.3%

Vanguard Emerging Markets Stock Index Fundの信託財産留保額(= Redemption Fee)は0.25%です。鼻差でVangaurd優位です。


購入しやすさ
STAM 新興国株式インデックス・オープンの買付単位は「1万円以上1円単位」。

Vanguard Emerging Markets Stock Index Fundの買付単位(= Additional Investment)は、積立だと「$50以上、$50単位」、スポット買いだと「$100以上、$100単位」です。1万円以上なら1円単位で買付できるSTAMの柔軟性もGoodですし、$50から積立できるVanguardも魅力的です。引き分けとします。


なお、Vanguard Emerging Markets Stock Index Fundには、Minimum Initial Investment(≒ 最低初期投資額)という決まりがあります。初めてこのファンドを買うとき、最低$3000の買付を行わないといけません。初心者にとっては高いハードルですが、こつこつ長期投資をする人にとっては影響のない額でしょう。


全体として
ノーロードのSTAMに対して、Vanguardは0.25%のPurchase Feeがかかります。しかし、信託報酬に目を向けると、STAMの0.8715%に対して、Vanguardは0.37%となり、逆転します。その差は0.5015

買付初年度に投信会社に支払うコストをトータルで見ると、
- STAM新興国株式インデックス・オープンは、0.8715%(信託報酬のみ)
- Vanguard Emerging Markets Stock Index Fundは、0.62(= 0.25 + 0.37)
となり、Vanguardのほうが優位です。信託報酬のみとなる2年目以降だと、STAMに比べ信託報酬が0.5015%安いVanguardが圧倒的に有利です。

STAMシリーズ、SBI資産設計オープン、セゾン投信などコストの安いインデックス投信が増えてきました。
個人投資家としてはうれしい限りです。ただ、「安い」といった場合の比較の対象は、日本国内で発売されている既存の投信です。そこで、日本の低コスト投信は世界レベルなのか、Vanguard社(アメリカ)の投信と比較・検討します。

一回目は、自国の株式市場を対象にするインデックス投信です。
日本はTOPIX、アメリカはS&P500との連動をめざすインデックスファンドを比較します。
日本代表はSTAM TOPIX インデックス・オープン 、アメリカ代表はVanguard 500 Index Funde としました。
以下、各ファンドのデータです。

STAM TOPIXインデックス・オープン
販売手数料: 0%
信託報酬: 0.483%
信託財産留保額: 0.05%
買付単位: 1万円以上1円単位

Vanguard 500 Index Fund
Sales Charge (Load): 0%
Operating Expenses: 0.15%
Redemption Fee: 0%
Initial Minimum: $3,000
Additional Investments: $50 by Automatic Investment Plan; $100 by check
Account Service Fee: $20/year

結論
TOPIX連動のインデックス投信のコストは世界レベルとは言えない。
長期投資家の一人として、「Vanguard 500 Index Fund」のような低コストなインデックスファンドが日本に現れることを望みます。

コメント
データは目論見書・Prospectusからもってきました。
両ファンドとも、購入時にかかる費用はゼロ(ノーロード)です。

しかし、信託報酬を見ると、STAM TOPIXはVanguard 500の3倍以上です。STAM TOPIXの信託報酬は日本国内レベルでは安いですが、世界レベルでは通用しません。ちなみに、野村アセットマネジメントのTOPIX連動型ETFの信託報酬が0.252%以内ですから、Vanguard 500 Index Fundの信託報酬がいかに安いかわかると思います。

では、信託財産留保額はどうでしょうか。Vanguard 500が0%で、STAM TOPIXが0.05%。僅かな差です。でも、金額が大きくなれば0.05%は大きな違いになり得ます。ここでも軍配はVanguard 500です。しかし、なぜSTAMは0.05%の留保額を取るのでしょう。0.05%ぐらいなら、いっそなくしちゃえばいいのに。

ここからは買付金額の比較です。つまり、購入しやすさの比較です。STAM TOPIXは「1万円以上1円単位」です。なかなかよいと思います。対するVanguard 500はどうでしょう?

- Initial Minimum: 最低初期投資額と訳せば適当でしょうか。初めてVanguard 500を買うとき、最低$3,000を投資しなければなりません。
- Additional Investments: 2回目からの買付金額です。積立プラン(Automatic Investment Plan)だと「$50以上$50単位」で、都度(check)だと「$100以上$100単位」です。

つまり、Vanguard 500を購入する場合、まず最低$3000投資します。その後は、スポットで$100単位で買ったり、$50単位で積み立てていきます。

とっつき易さではSTAM TOPIXの勝ちです。Vanguard 500は最低初期投資額があるので、「とりあえず買ってみる」ということは難しいでしょう。ただ、すでにある程度投資している人がVanguard 500に乗り換える場合は、$3000の最低初期投資額は問題にならないでしょう。ボーナスをきっかけに購入し始めるのも手でしょう。積立が$50からOKなのは好感が持てます。

最後の項目、「Account Service Fee」はVanguard 500にだけあります。銀行でいう口座維持手数料です。毎年$20取られるのは痛いッス。でも、口座維持手数料の免除条件は低いです。免除条件は、取引をネットですることと、各種報告書をEメールで受け取るようにすることだけです。この2点を満たせば、Account Service Feeは無料です。オンライン証券愛用者にとって、Account Service Feeは無いも同然でしょう。

集計すると、
- 販売手数料: Tie
- 信託報酬: Vanguard 500 (大差)
- 信託財産留保額: Vanguard 500 (僅差)
- 購入し易さ: Tie