今年は・・・「暑すぎる」
だから外に出たくない、なのでなんか部屋を涼しくして本でも読んでいたい
と、ぐーたらしている私に奥様からわたされた本書
書籍紹介は
日本人の「義」とは何か。
小雪舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、満身創痍の侍がたどり着いた。貧しさから南部藩を脱藩し、壬生浪と呼ばれた新選組に入隊した吉村貫一郎であった。
“人斬り貫一"と恐れられ、妻子への仕送りのため守銭奴と蔑まれても、飢えた者には握り飯を施す男。
「死にたぐねえから人を斬るのす」新選組で、ただひとり庶民の心を失わなかった吉村貫一郎の非業の生涯を描く、浅田次郎版「新選組」。初の時代小説にして、浅田文学の金字塔。
実はずいぶん昔に手に取ったことがあるのですが(多分20代半ばくらいだったか)、その時は割と最初の方で挫折してしまったんですね
当時はタイトルから「新選組」=「武士道」とか「池田屋事件」「チャンバラ」みたいな派手な面白さを期待したんだが、「なんか思ってたのと違う・・・」みたいな
そして今回も重くのしかかってきましたが、この本は改行が少なく文字がびっしり!そして漢字がやたら多い!
そんな活字本を読みたがらない子供のような言い訳をしたくなるぐらい、読み応えがある!
・・・と、そんなこんなで約20年ぶりのリベンジ!
結局上下巻共に読み終えるのに約1週間!通常の文庫本ならおおよそ半日程度で読み終えるんですが、今回は時間がかかりました!やっぱり読み応えがすごい!
そして、読破後の感想としては「とても良い本」でございます!
お客様の中にも何人か本書を推奨してくれる方がいらっしゃいましたが、皆さんのおっしゃる通りとても良い作品だと思います!
いわゆる「武士道」とは?という点で、「主君のために命を賭すべし」とか「事の次第によっては自ら腹を切るべし」とか「忠を尽くす」という事において自らを顧みない潔さだったり、他には体裁を気にするとか、人前で恥をかく事を極端に嫌うとか・・・
人それぞれ価値観は違うでしょうが、私の今までの武士道のイメージとはそんな印象が強いのですが
こちらで描かれているものは、そんな在り来たりの既成概念とは全く違う「嫁子供・家族を食わしていく事」というごくありふれた当たり前の様でいて、それがいかに大切なのかとを考えさせられる
そんな「武士道」だと思いました
物語は主人公の吉村貫一郎本人の最後の場面と、生前彼と関わりのあった人物(元新選組隊士等)に明治の時代にとある記者がインタビュー形式で話を聞くシーンをそれぞれ交互に展開されます
主人公は文武両道で人格者なのに、いわゆる金勘定にうるさい「守銭奴」として最初は忌み嫌われる様な存在なのに、物語が進むにつれて彼のことがどんどん好きになっていきます。
後世にも剣豪として名を残す新倉新八や斎藤一などの荒武者キャラたちも最初は彼に対して印象は最悪なのに鳥羽伏見の戦いにおいて、「あいつ(吉村)だけは絶対に死なせてはならん」と奮闘する姿にどうにも心を打たれました
国を脱藩し、地元では裏切り者扱いをされ、出稼ぎ先の新選組では守銭奴と陰口をたたかれようが、国元の家族に送金するためにやりたくもない殺人を行い・・・
私もそれなりに年をとって、親にもなった今だからこそ、本書を読んで自分にこんな事が出来るかと?
もちろん時代も違うんで安直に例えられませんが、そんな事を考えさせられるくらい壮絶な武士道が描かれています。
読書感想文的にはもっと色々とあるんですが・・・きりがないんでこの辺で・・・
男として、親として、人間として「義」なるものとは、現代を生きるお父さんに読んでほしい一冊です。