【ストーリー内容】
昨日の父親参観会の話題で盛り上がっていたまる子とたまちゃんは、お父さんへの苦言を作文で発表した山根のその後の事も気になっていました。山根本人はというと、朝から元気がありません。やはり、作文の事で家でもお父さんにかなり怒られてしまったようです。藤木と永沢も元気がない山根の事が気になり、「どうしたの?」と声をかけます。そこで山根は、怒られてしまった事を含め自分の気持ちも打ち明けるのでした。
山根は普段からお父さんのスパルタ教育が苦痛で仕方がありませんでした。そして、その事をみんなの前で訴えれば自分の辛さを分かってもらえると考えたのです。しかし、お父さんには分かってもらえるどころか、恥をかかされた事も加えてさらに怒られてしまったと言います。さらに、お父さんはなだめるお母さんの事を突き飛ばした上、その責任を山根に転嫁する始末でした。
藤木は山根の事を同情するとともに理解を示す一方で、永沢は「でもお父さんが怒る気持ちも分かる」と言います。「お父さんは緊張が原因で胃腸が痛くなったのに対して『しっかりしろ』と言っただけだった。でもその直後にあの作文を読まれたら面目まるつぶれだから」というのが、永沢の考えでした。そこに、まる子が「何を話しているの」と首を突っ込んできます。話を聞いたまる子は、やはり山根に同情します。しかし、永沢の言い分を聞くとその意見も一理あると感じます。さらに「山根の気の小ささも問題」というような話にまでなり、全面的に同情してくれていた藤木までもがその意見にうなずくのでした。そして、永沢は「山根にはあれぐらいのお父さんがちょうどいい」とまで言ってしまいます。そこに丸尾くんまでもが割り込み、「山根くんのお父さんは立派」「山根くんのお父さんは息子想い」「これからもお父さんのしごきに耐えて胃腸の痛みを克服すべき」とまで言い出してしまいました。
山根は、ついに怒りが爆発。山根の豹変ぶりにみんなが硬直する中、「冗談じゃねぇ!」と次々と机を投げ飛ばし、教室内は荒れた状態になってしまいました。
まる子は、校庭にいる大野くんと杉山くんに助けを求めますが、2人は山根のキレっぷりを見て「これじゃ手がつけられない」と愕然。丸尾くんに呼ばれた戸川先生も到着すると、山根は学校を飛び出してしまいました。先生は山根を追いかけ、大野くんと杉山くんもその後を追います。
教室は、机は倒れ、花瓶は割れてグチャグチャの状態に。とりあえず残ったクラスメイトたちで教室を片付ける事にします。まる子は山根に余計な事を言ってしまったことに責任を感じていました。
戸川先生と大野くん・杉山くんは、校外で山根を探します。山根はそのすぐ近くにいましたが大暴れを後悔し、今さら出てこれないと思っていました。山根を見つけられなかった3人は、とりあえず学校に戻る事に。そんな3人の姿を、山根は心の中で謝りながら眺めるのでした。
まもなく山根の両親にも連絡が行きます。山根のお父さんは仕事を切り上げてすぐに学校に向かいます。両親が学校に着くと、まる子や藤木、永沢、丸尾くんは山根の大暴れの原因を作ってしまった事を泣きながら謝罪。山根のお父さんは「みんなが悪いんじゃなくて厳しくしすぎた私が悪い」と言います。そして、みんなでもう一度山根を探しに行く事に。
その頃、山根は自己嫌悪に陥りながら街をさ迷っていました。すると、佐々木のじいさんと鉢合わせします。佐々木のじいさんが山根の顔と名前を覚えていなかったため、山根は自己紹介します。「僕なんてあまり特徴もないし印象も薄いから」という山根に佐々木のじいさんは「君は優しそうな良い少年だ」と言い、大暴れの事を聞かされても「男の子は少々暴れん坊ぐらいの方が元気があって良い」と笑いながら言うのでした。そして、「普段は優しいのなら植木を大切にしておくれ」「もし暴れても木だけは折らないように」と言い残して去っていきました。
一方で、まる子たちは両親と他のクラスメイトたちも交えて山根探しを続けていました。まる子は山根がなかなか見つからない事に不安になり弱音を吐きますが、一緒にいた大野くんに叱咤されます。そこに、偶然佐々木のじいさんが通りがかります。山根の居場所の手がかりを聞き出す事ができたまる子と大野くんは、その事をみんなに知らせて再捜索。みんなが探し回る中で、まる子は山型の遊具の上にポツンと座っている山根を見つけました。
クラスみんなが見守る中、すっかり落ち込んでいた山根は両親やみんなに謝ります。お父さんは「気が小さいくせにバカな真似をするな!」と叱るも、その後で今まで厳しくしすぎてきた事を謝罪。山根は、お父さんと和解しました。
その日、まる子はたまちゃんの他に、藤木や永沢、長山くんと一緒に帰っていました。話題は、やはり山根の事。そして、「普段は大人しくても何かのはずみで大爆発するタイプ」の人の話になり、永沢は藤木もそういうタイプではないかと言い出します。さらに、過去の話を持ち出し、長山くんやまる子に止められても藤木が泣きそうになりながらもネチネチと言い続ける永沢。藤木は泣き出してしまいました。永沢もまる子も何もできない中、長山くんは藤木の手を取り、「僕はキミの良い所も知っているから」と言いながら藤木を落ち着かせます。そうして藤木に付き添う長山くんの姿を見て、まる子や永沢は彼を見習うべきだと感じるのでした。

【詳細ネタ】
・山根は、意見をあっさり変えた藤木に対して卑怯者だと感じる。
・佐々木のじいさんは山根に対して「あんた、誰だっけ?」と言う。
・前田さんは登場するもこの回では空気のような存在。山根の大暴れに巻き込まれる姿、山根を探す姿が確認できる。
・佐々木のじいさんに山根の事を聞いてみるまる子に、大野くんは「こんなじいさんが知るわけないだろう」と思う。
・佐々木のじいさんいわく、山根は商店街の三丁目の方に行ったとの事。それは、学校の近くだったため、みんなで学校周辺を探す事にした。
・山型の遊具は「もぐらやま」と呼ばれている。
・まる子と丸尾くんは、大暴れの事でお父さんがさらに山根を怒るのではないかとヒヤヒヤした。
・「普段は大人しくても何かのはずみで大爆発するタイプ」として、掃除係のエピソードがある前田さんも挙がる。
・藤木が「普段は大人しくても何かのはずみで大爆発するタイプ」と言われたのは、「ベルマークを集めよう」のエピソードより。
・この話のオチは一応、次回の「長山くんを見習おう」に続く。

 

【コメント】

●たぬき「この回は、様々な事を考えさせられるな。でも、まずは山根に絡むまる子たちの無神経さが胸糞悪い件」

 

○さぬき「親友の立場で心配して様子見に来た藤木や永沢は理解できるけど、まる子や丸尾くんは本当に面白半分で野次馬みたいに首を突っ込んできてるようなもんだからね。何より、途中からしか話を聞いてないくせに何でも分かったかような事を言うのがどうかと思う」

 

●たぬき「永沢が最初に言った親父擁護の意見は一理あるんだよな。でも、それはあくまでも親父側にもそういう事情があったから、みたいな言い方であって決して山根を責めてるわけじゃない。現に『お父さんの気持ち分かる』と言っていて、それは山根の気持ちも理解した上での事だからな。捉え方によっちゃ『お父さんのそういう気持ちも理解してあげて』という風にもとれるからそういう流れにすれば良かったものの、まる子が『山根は気が小さい』なんて言うから話は変な方向になって。問題なのは、山根が黙っているのをいいことに、調子に乗って言いたい放題に発展したその後だな」

 

○さぬき「山根くんが怒り出した時に、すぐに誰かが謝っていればあそこまで大ごとにはならなかったんだよね。大暴れした山根くんもそうだけど、まる子たちも自分のした事の重大さに気付くのが遅すぎたねまだ小学3年生だから『自分の言動にはきちんと自分で責任を持つ』という事を学ぶのはまだ先の事なんだろうけど……」

 

●たぬき「まぁ、大暴れの一件で山根も最終的には親父に辛さを理解してもらえたから、結果的にはただ慰めてもらうだけよりも良かったのかもしれないけどな。あの親父も問題アリな部分は多いけど、山根が大暴れしてからは親としてまともな対応だったしな。母親に丸投げするでもなく、謝るまる子たちに気を使ったり」

 

○さぬき「ていうか、後で気付いたけど、山根を怒らせたメンバーってのが『怒られるタイプの人』で話題になった、怒られるタイプの人(まる子、藤木、永沢)と褒められたくて必死な人(丸尾くん)の寄せ集めだよね。なんか納得できる」

 

●たぬき「たまちゃんは山根の件に首を突っ込んだりしなかったもんな。しかも、まる子が責任を感じてる時もただ相づちを打つだけで変に慰めるわけでもなく。あの態度からも、たまちゃんもはっきりは言わないもののまる子の言動に非があったとは思ってたのが分かるな」

 

○さぬき「それにしても、永沢ってすごく嫌な性格だよね。山根くんが大暴れしたばかりだというのに、今度は藤木を怒らせるような事を言って、同じ事を繰り返してる。こいつだけは全然反省してないじゃないか」

 

●たぬき「ああ。でも、永沢にいびられて泣いた藤木は、長山くんという自分の味方でいてくれる存在に気付くわけさ。この回では、『自分の存在を認めて受け入れてくれる人』の存在の大きさも隠れテーマなんだよな。藤木の場合は長山くん、山根の場合は佐々木のじいさん。そういう人の優しさに触れると、次第に落ち着きを取り戻す事ができる。永沢にとっては、藤木がそうだな」

 

○さぬき「その藤木に、酷い事を言う永沢。こんなんじゃ、じきに本当に独りぼっちになるよ」

 

●たぬき「永沢は永沢で心の病を持っていそうだよな。藤木に対しては、自分の悪態をどこまで受け入れてくれる相手なのかを試しているような感じもするし」

 

○さぬき「永沢って山根の時もそうだけど相手が取り乱したらいきなり慌てるよね。そういう所を見ると、はなっから怒らせようとか泣かせようとか思っているただの意地悪とも違うような気もするけど」

 

●たぬき「長山くんの事も『いい人ぶってる』とは思わずに素直に偉いと思っているみたいだしな」