【ストーリー内容】
クラス内で係決めをする事になったまる子たち。次々と係が決まる中、まる子とたまちゃんは同じ係になりたいと思い、たまちゃんの希望である図書係に2人で立候補する事にします。ところが、冬田さんも図書係に立候補したため定員漏れとなり、ジャンケンをする事に。まる子は負け、残りの掃除係になってしまいました。
掃除係のメンバーは、前田さんと野口さん。まる子と野口さんは、校舎の裏へ掃除係をはりきる前田さんに呼び出され「私たちで掃除係を頑張ろう」と言われます。あまり乗り気じゃない2人に腹を立てる前田さん。まる子がお互いに自己紹介でもして打ち解けようと取り繕うも、前田さんは「そんな事をしても意味がない」とバッサリ。
まる子たちは、前田さんの提案で雑巾を5枚用意しなければならなくなりました。前田さんの提案とは、毎日放課後にクラスでふき掃除をするというものです。お母さんに雑巾の用意を頼みつつ、こんな提案をしたら絶対にクラス全体から反感を買うと、まる子はゆううつな気持ちで部屋に向かいます。
その時、やたらテンションが高いおじいちゃんに呼び止められました。まる子は、おじいちゃんから一通の手紙を見せてもらいます。手紙はヒデじいからのもので、ヒデじいの本名が「西城秀樹」と一字違いの「西城秀治」である事が発覚。それに加え、ヒデじいから手紙をもらった事で浮かれているおじいちゃん。まる子は前田さんの事もあり、「へんにはりきっている人は嫌われるからおじいちゃんも気をつけな」と言い残して去ります。
次の日、朝の会で掃除係は前田さんを筆頭に、放課後にみんなでふき掃除をする事に決めたとクラス内で発表。案の定、クラス中はブーイングの嵐となり、反対コールが飛び交います。まる子や野口さんが縮こまる中、前田さんは折れません。
たまちゃんは「あくまでも前田さんが提案した事」と理解しまる子を気遣いますが、他のクラスメイトたちはまる子や野口さんにも当り散らします。しまいには男子生徒からボールを投げつけられる暴力にまで発展。まる子は抵抗する気力さえ失いました。
一方で1人の女子生徒にピアノのレッスンを理由に早く帰らせてくれるように頼まれた前田さんは、「決まりは守ってもらう」と聞く耳を持ちません。そんな前田さんを1人の男子生徒が蹴りを入れます。前田さんは暴力を振るわれても脅されても決まりを取り消す事はありませんでした。
放課後、前田さんは予定通り掃除をするために仕切ります。しかし、クラスのみんなは無視して帰っていきます。言う事を聞いてくれないクラスメイトたちに前田さんが顔を真っ赤にしながら「帰らないでください!」「掃除してください!」と泣き叫ぶと、今度は前田さんの泣き顔でみんなが笑い出します。さらに、はまじが前田さんの真似をしてからかうと、クラス中も大笑い。
さらにこれまで冷静だったまる子も、前田さんの顔が面白い事に気付いてしまいます。ふと野口さんの方を見ると、野口さんも笑いをこらえているのか血管を浮かせながら震えていました。「野口さんは実は面白いもの好きなのか……?」と考えるも、我に返り前田さんを止めようとするまる子。しかし、振り返った前田さんの顔はさらにすごい状態となっており、まる子は笑いそうになってしまいます。その顔は野口さんもしっかりと見ていたもよう。さらに、前田さんの鼻から鼻ちょうちんが出てきて野口さんの我慢が限界に達してきた時、まる子はついに狂ったように大笑いしてしまいました。
夕方、みんなが帰った教室内でまる子と野口さんは、大笑いした理由を前田さんに問い詰められていました。必死で言い逃れのネタを考えようとしたまる子は、ふと昨日のヒデじいの手紙の事を思い出します。
ヒデじいの本名が「西城秀治」である事、そして本名が「ひでじ」ならば愛称となっている「ヒデじい」は「ヒデ爺」ではなく実は本名を呼び捨てにされているようなものである事。そのネタは、予想以上に前田さんにうけます。前田さんは狂ったように大笑いし、掃除の事もさっきまでの事もすっかり忘れているようでした。
その後、まる子は野口さんと2人で帰ることに。野口さんはまる子に、実は自分は面白い物好きなのだと打ち明けます。そして、まる子は野口さんに「どうも気が合うような気がする、友達にならないか」と誘われます。まる子は、野口さんと友達になってみる事にするのでした。

【詳細ネタ】
・丸尾くんは今回も学級委員になれた事で大喜び。話の初っぱなから高テンションで飛ばしている。
・作中では生物係には長山くんと青木くん、掲示係にはとし子ちゃんと山根、花係にはとくちゃんとかよちゃん、ベルマーク係には永沢がなっている事が確認できる。
・野口さんは「うんとかすんとか言ったらどうなの」と言う前田さんに、「すん」または「うんとかすん」と返す。
・まる子は前田さんに対し「へんに張り切っている人は面倒だ」と愚痴る
・おじいちゃんが持っていたヒデじいからの手紙は、第27話「ヒデじいのお見舞いに行く」の巻でおじいちゃんが持っていった手紙の返事だった。
・ヒデじいの本名をぜひ西城秀樹本人に伝え、自分と似た名前の人がいる事に感激してほしいとおじいちゃんは思う。
・前田さんのふき掃除の提案は、戸川先生も了承済み。
・前田さんの提案でブーイングに巻き込まれたまる子は「同じ穴の狢」「一蓮托生」と言う。
・まる子も野口さんも、前田さんの提案には反対だった。もし掃除係じゃなかったら自分もみんなと同じように帰っていると考える。

 

【コメント】

●たぬき「いやー、20分ちょっとの間でよくもまぁここまで内容の濃い話になるもんだな」

 

○さぬき「この話は、まる子が野口さんと仲良くなるキッカケになったお話だけど。この頃の野口さんはただただ、か弱いイメージだね」

 

●たぬき「勝手に放課後に掃除する事を決めたのはどうかと思うけど、まる子のクラスメイトってこんなにガラ悪かったっけ?ってぐらい酷いな。何より、先生や学級委員が空気になっちまってるじゃないか」

 

○さぬき「まる子や野口さんに食ってかかる子たちって最低だよね。誰が見たって前田さんが勝手に決めた事だっていうのははっきりしているのに、まる子や野口さんを掃除当番ってだけで責め立ててさ。言い返せない相手を攻撃して憂さ晴らししてるだけにしか見えないよ」

 

●たぬき「この回は……おそらく夏休み明けの2学期頃の話だな。となるとまぁ、これぐらいの時期ならみんな前田さんの性格ぐらいは認識してるか。でもまる子が言うように『一蓮托生』なんだよな。大人でも『組織と個人は別』という考え方を持てない人は存在するからな」

 

○さぬき「途中でさ、ヒデじいからの手紙のシーンがあるじゃない?あれって話を最後まで見るまでは『あのくだりって要らないんじゃ……』って思いがちなんだけど、最後の最後でまる子たちを救った重大なシーンになるんだね」

 

●たぬき「無駄もなく、よく出来た話だよな。最後に野口さんが『面白い物好き』だという事が判明するわけだけど、あれだってもし初めに掃除係同士で自己紹介していれば分かっていたかもしれないんだよな。引っぱり方が絶妙w」

 

○さぬき「掃除係になったせいで災難だったまる子だけど、結局は野口さんと友達になれたわけだし、ある意味良かった……という事で良いのかな」

 

●たぬき「だな」