補習校は、週に1回(国語2~3時間、算数や社会などをする学校もある)しか授業がないし、年間35日~40日くらいしか授業日がないので、どんなに頑張っても
35×3=105時間くらいしか、国語を勉強する時間はない。
文部科学省の出している標準授業時数は、以下の表のとおりなので、低学年では3分の1程度の時間数しか確保されていない。なので、授業でできないものは、家庭での宿題となる。
【資料4】授業時数特例校制度について(概要) (mext.go.jp)
日本と同じ学年の授業内容をやろうと思ったら、時間数が圧倒的に足りないので、当然宿題も多くなってしまう。(各補習校の方針や担当講師によっても異なるが。)
それでも、低学年のうちは、内容も簡単なので、家庭で文字の練習やら音読やらの宿題も楽しく取り組めるし、教材も日本の子どもたちと同じようなものが使えるので、いろいろ補うことができるし、ドイツの現地校もとてもゆっくり進むので、補習校の授業にもほぼ問題なくついてくることができる。
それが3年生になると、漢字が一気に増えて200字。複雑な形のものも増え、しかも音訓両方のの読みが一緒に出てきて、さらに抽象的な言葉(しかも熟語!)が増えてきて、普段家庭ではあまり使わない言葉のオンパレード。
普段全くと言っていいほど目にしない漢字や熟語を覚えるって、至難の業。
ちなみに、各学年で習う漢字の数がいくつか知っていますか? (2017年改訂以降)
1年(80字)
2年(160字)
3年(200字)
4年(202字)
5年(193字)
6年(191字)
高学年になると、国語の時間数自体は175時間と減っているけど、家庭で事前に音読したり、意味調べしたり、習った漢字の練習をしたり、作文を書いたりしなければ、とてもじゃないけど授業についてこらない。
授業が成り立つには、事前に教科書の単元の予習が必須!
音読しても、単元の内容が分からなければ、話し合いにも参加できない。意見もいうことができない。授業は内容が分からないからつまらない。やる気を失う。宿題もやる気が起きない…。と負のスパイラルが始まると、もう補習校自体は好き(友達好き、行事好き)でも、日本語は伸びなくなってしまう。
親御さんの中には、宿題をもっと出してほしい、厳しくしてほしい…という要望があるかと思えば、宿題はあまり出さないでほしいとか、これだけはやらせますけど、全部は出せませんという家庭もあり…。
宿題分からない!大変!面倒くさい!と感じている子どもたちの多くは、結局いやいややっているので、全く頭に入っていないし、力になってない。宿題を添削していると、いやいや感が伝わってくるのでこちらも辛い。(時々ぐちゃぐちゃな用紙を提出してくるお子さんもいる。)
宿題という形で強制されずとも、自分に何が必要か自ら考え、自ら取り組む自立した学習者になってほしいのだが…。(やはり伸びていく子は、自ら考えて、工夫したり楽しみながら勉強している。)
で、結論は、宿題ははっきり言ってどこの補習校も結構多い。(各補習校、先生にもよるが。)
音読、プリント、漢字練習、日記や作文など。
イースター休暇、夏休みや冬休みもしっかり宿題が出る。しかもいつもより多めに出る!
(平日は現地校の宿題とかがあるので、こういう時でないと、なかなか時間を取ってもらえないので。)
でも、宿題だけしてしても力はつかない。(日本のように日本語を毎日使う環境にいないのだから、同じようには力はついていかない。しかもいやいやながらやっていては力がつくわけない。)
宿題をこなすことも、日本語の維持にはある程度必要&大切だが、宿題をやっていれば日本語の力がつくと安心してはいけない。
それよりも、お子さんとコミュニケーションを多くとり、お子さんの自己表現力や発言力を高めたり、お子さんの好きな分野の日本語力を伸ばしてあげたり、日本の文化等に興味を持たせたりして、最終的に自分で学んでいく学習者に子どもを育てることが海外の日本語育児/教育には何よりも大事だと心から思う。