補習校の講師をしていると、やはり年度末や年度途中で辞めたりする児童がいて、残念だなと思うことがある反面、「辞められて(辞めさせてもらえて)よかったね」と思うこともあります。
補習校って、親の(特に母親の)意向で行かせていることがほとんどなので、物心がつき始めると、子どもが補習校を辞めたいって言い出すことが多々あります。
特に、学年が上がるにつれて(特に3年生頃、いわゆる9歳の壁)、漢字学習が大変で嫌になってしまったり、授業についていけなくなったり、現地校の勉強や習い事などが忙しくなってくると、両立が難しくて辞めていくお子さんが多くなってきます。
あなたのお子さんが、土曜日に補習校行くのを渋り始めたり、補習校を辞めたいって言い始めたら、どうしますか?
1.あなたは日本人(半分?)なのだから、絶対に行きなさい!としかる。
2.行きたくないなら辞めればっと言って、辞めさせる。
3.どうして行きたくないのか/辞めたいのか、まずは話を聞く。
1番を選んだ人。
無理やり行かせようとして、子どもが反抗的になったりしていませんか?
親子の関係が悪化しているようなら、それはあまりいい解決策ではないですよね。
何のための日本語育児なのか、思い出してください。
2番を選んだ人。
潔くて私は好きですが、これではお子さんの本当の気持ちは分かりませんよね。親も子どもも、何だかすっきりしない気がします。
3番を選んだ人。
普段から、きちんとお子さんと向き合えている方だと思います。親子関係もきっと良好なのではと思います。
やはり、まずは、いったん子どもの思いを受けとめ、きちんと理解してあげることが大切かなと思います。
辞めたいって言っている子どもの本心は、ただ、宿題が嫌だとか、土曜日に休みたいとか、それほど単純ではないことが多いです。
だから、日本人なんだから補習校に通うのは当たり前。とか、ここまで続けてきたんだから今、辞めるのはもったいない。とか、あなたの将来のためにも行った方がいいわよ。などと言って諭すのではなく、まずは、どうして辞めたいのか、話を聞いてあげて欲しいと思います。
そうすると、現地校でうまくいっていなくて、やる気が起こらなかったり、補習校のお友達と喧嘩してしまったり、仲のよいお友達が辞めてしまうので、自分も辞めたいと思ってしまったり、お母さんが下の兄弟ばかりに目をかけるので、気を引いてみたかったり/甘えてみたかったり…と、実は本当に補習校を辞めたいとは思っていないことも往々にしてあります。
もちろん、宿題が多すぎて嫌だったり、毎回の漢字テストがストレスだったり、授業が全然わからなくてつまらなかったりということもあります。習い事(特にスポーツの大会等)に参加したいのに、補習校を優先しなければならないのが嫌だったり、お友達の誕生日会に誘われても行けないのが嫌だったり、他の子たちは週末遊んでいるのに自分は学校に行かなくちゃならない…とか、子どもなりに辞めたい理由はいろいろあるんです。
なので、まずは、子どもの気持ちを知る、それから、話し合いをして、解決策(妥協案)を一緒に考えていくことがいいのではないかと思います。
日本語はどうしてもやりたくないとか、他にどうしても集中して取り組みたいことがあるとか、話し合いの結果、お子さんにとって補習校が負担になっているとか、他のことに本気で取り組みたいのだと分かったら、一定期間補習校を休んでみたり、辞める選択肢もありだと思います。
土曜日の補習校が負担であれば、平日に行われているオンライン補習校や日本語教室に参加してみるという選択肢もありますしね。
補習校に行きたくないのに、親が無理やり行かせていると、お子さんは常に強いストレスにさらされ、反抗的・暴力的・無気力…になっていったりします。中にはストレス発散のため、他のお子さんに意地悪のようなことをしたり、授業に参加せずに勝手におしゃべりをしたりするお子さんもいます。
なので、お子さんの精神状態をよく考えた上で、補習校を続けさせるかどうか決めてほしいと思います。
私は自分の受け持ちのクラスにやる気のない児童がいた場合には、必ず理由を聞くようにしています。その多く(ほとんどが男子)が、「自分は本当は補習校に来たくないけど、親(母親)に行けと言われているから仕方なく来ている。」と答えます。
「どうしても勉強をしたくないのなら、先生がみんなの味方になって、お母さんに辞めさせてくれるようにお願いしてあげるから、辞めたい人は先生に授業が終わったら言いに来てね。」と言ったこともあります。結局だれも来ませんでしたが。(笑)
補習校を続けられなくても、子どもは海外で自分の居場所を見つけ、逞しく育っていきます。
途中で日本語学習を辞めても、中学校卒業くらいの年齢から、また日本語を学びたいと思って、自分の意志で再び学び始めることもあります。(そういうお子さんにもプライベートで教えています。)
だから、お母さんたちも、少し肩の力を抜いて、目の前のお子さんと向き合ってくださいね。親子の良好な関係が、長い日本語育児の成功の秘訣です!