浦江塾で水辺の妖怪を話します | 晴耕雨読 -田野 登-

晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。

今度の浦江塾で水辺の妖怪を話します。
写真図1 浦江塾の表紙

下地の絵は、
大阪府立中之島図書館所蔵の
貞秀「浪速天満祭」(おおさかeコレクション)です。
この賑わいに
大江山からの鬼が身を潜めているのです。
ちょっと見つけるのは難しそうですが、
藤本義一、1987年「わが天神祭り」では
そのありさまが語られています。

今回の案内ハガキが住職から届きました。

 

写真図2 案内ハガキ

文面は以下のとおりです。

 郷土誌を見直す『浦江塾』のご案内
 堂島の川沿いは蔵屋敷が鬱蒼とし塀を連ねていて
妖怪等の纏わる話題が巷間の楽しみの一つでした。
ムジナも川辺では普通に徘徊していました。従って
関する譚が自然と発生流布した様です。今回記録に
残された譚を取り上げ当時にタイムスリップします。
 日時 10月7日(土曜日)午後7時より9時迄
 場所 妙壽寺(福島区鷺洲2-15-10)駐車可
 テーマ 「水辺の妖怪譚」
       ―堂島蔵屋敷の狸騒動―
        大阪民俗学研究会代表 
         文学博士 田野 登先生

 

以下、田野による書き込み。

臆面もなく称号もそのまま添えています。
「堂島の川沿いは蔵屋敷が
鬱蒼とし塀を連ねていて」とあります。
先達て、住職にPowerPoint版をご覧にいれました。

写真図3 目次

水辺の妖怪譚―堂島蔵屋敷の狸騒動など―もくじ
 1 玉江橋での精霊流し
 2 水辺の妖怪や異類のモノたち
 3  蔵屋敷の景観
 4 堂島蔵屋敷の狸騒動

 

 《3  蔵屋敷の景観》で
たっぷり蔵屋敷の夜景の
薄気味悪さをご覧に入れます。
対岸の中之島「蛸の松」の夜景を想像してください。

 

このPowerPoint版は
8月8日実施の中之島精霊流し関連のイベント時
作成したものを
ヴァージョンアップしたものです。

お盆に送るのは、
どなたでしょうから始まります。
先祖さんだけやないでしょうから始まります。

 

《4 堂島蔵屋敷の狸騒動》は、
島本久恵「長流 一」(昭和36(1961)年 みすず書房)より
抄出しました。
さながら狸のオンパレードです。
原作には中津の屋敷(堂島蔵屋敷)の狸の他、
浦江の提灯火、
難波のだんじり囃子、
海老江の蜘蛛の火、
これら、みんな狸の仕業なんです。

「難波のだんじり囃子」を除き
朗読します。

 

今回、初出の「海老江の蜘蛛の火」の出だしは・・・・
◇ 性のわるい狸、えぐい化け方する奴もたんといて、
 それにも段々があります。
 恐ろしい奴は海老江の蜘蛛の火、
 蜘蛛の火ちゅうのんで分かりまっしゃろ、
 お寺の横手で両方から孟宗の藪が
 上の方大方つきおうて陰気にかぶさった道や、
 そこを晩に「淋しいなあ」思て通ると、
 不意に頭の上へ
 ぎらっとまっ蒼に光って大けな蜘蛛の巣、
 わあッとそこへへたばってしまう、
 そいでもへたばったら堪忍しよるねけど、
 何くそッと、抵抗(てむこ)うて

 棒の一本も振り上げたらおしまいや・・・・

 

流暢な大阪弁で綴られる妖怪譚です。
この顛末や如何?
浦江塾で語ります。

 

浦江塾は参加手続き不要、
参加費無料、
興味がある方は30名まで
参加いただけます。

 

究会代表 

『大阪春秋』編集委員    田野 登