狐につままれたチェックインからの続きです。
結局のところホテルの滞在時間はお部屋に籠ることになりました。
しかしチェックアウト後は晴れの予報でした。
一日穏やかそうだったのです。
朝食後に斜面を見ていると一人で登っていく人も数人いました。
もちろん景色も見通せました。
ということで比較的リスクは下がった雰囲気でした。
とはいえ最初の一歩というのは悩ましいものです。
心理的にはそのまま帰っても良いかという気分でした。
雪の斜面をそこまで登りたいとは思わないわけです。
単に抵抗だったのかもしれません。
少なくとも見た目上はなかなか急でした。
ところが何故だか体がそちらに向かうような感覚でした。
トレーニング効果を求めていたのでしょうか。
まさに不一致な状態です。
ひとまずそこに向き合いました。
すると次第に登れる所まで行けば良いという感じになりました。
ということでスキーブーツにアイゼンをつけて板を背負って出発し
当然ながらそれなりの負荷があります。
ただ自己認識とは異なりまあまあのペースだったようです。
稜線まで夏山標準タイムが1時間のところを40分で歩けてしまい
淡々と進むとそんなものかと思いました。
厳しいのはそこまでです。
そんなわけで結局のところ中央アルプス最高峰まで行ってしまいま
そこから1本目です。
少し緊張感もありながら安全な範囲で滑りました。
これはこれで初めての感覚だったかもしれません。
一般的には至福の時というイメージでしょう。
標高差にして400m弱でしょうか。
想像以上に楽しめました。
そこから登り返してホテルが見える稜線に戻りました。
30分程度です。
自己認識よりも登れる自分がいることを確認しました。
そして2本目を楽しみました。
顕在的にはどのような意味があったのかは分かりません。
でも潜在的なインパクトは大きかったような気がします。
谷 孝祐
2021.5.14