腹痛に耐えて2日目の山行を終えてのことです。
体は限界だったのでしょうか。
あまり動く気にもなれませんでした。
当然ながらお風呂はないのでいつもであれば体を拭いて少しでもマシにするところです。
しかしそれすらできませんでした。
幸いいつものように汗もかいていなかったのもあるでしょう。
ただ肌の気持ち悪さも気にならないくらいになっていたのだと思います。
そしてすぐにやってきた夕暮れと共に寒さが増していきました。
もちろん気温が下がったわけですが普段であればなんてことない程度です。
それなのにこの時はそうはいきませんでした。
まさに悪寒という雰囲気でした。
熱があるかのような寒気ですが実際にはなさそうでした。
とにかく可能なだけ着込んでシュラフにくるまって過ごしたのでした。
そんな状態なので食事をするのが精一杯で早々と眠りにつきました。
寝心地は良くないのですぐには寝れない感じでしたがそれも一瞬だったのかもしれません。
夢すら見ない真っ暗な世界に旅立ったのでした。
何時間経ったのでしょうか。
ぱっと目が覚めました。
驚いたわけではありませんがそのくらい突然のことでした。
印象的だったのは目を開けても何も見えないことでした。
暗くてもここまでのことは初めてでした。
暗順応しないのです。
漆黒の闇とはこのことかと感銘を受けました。
目を開いても閉じても全く変わらないのです。
まさに盲目と一緒です。
そんなことを感じていると次の展開がやってきました。
寒気とは異なる性質の悪寒がやってきたのでした。
そして人とは異なる気配がキャッチされました。
何者だったのでしょうか。
とにかく今まで認識したことのない質の空気感でした。
そこは夜中の集会場になっているかのようでした。
目を合わせる元気も勇気もなかったので寝たふりをして彼等が何なのか探りました。
ただ解明を待たずに一団は去っていきました。
なので落ち着きを取り戻した闇の中ですぐに眠りにつきました。
ここまであからさまな体験も初めてなものです。
山中には未だ知り得ない存在があるものなのだと思いました。
谷 孝祐
2018.5.17 8:44