前回から足裏への意識の具体的なポイントについて触れています。
まずはそこで得られる触感からという話題でした。
これは体を感じながら歩くためのベースとしての話題です。
実際にどこを歩いていてもこの触感は伴います。
しかし多くの人が認識していないのかもしれません。
確かにそれをとらえていなくても大概は問題ないでしょう。
一般的に日常生活の中での優先順位は高くなさそうです。
ただそれをキャッチしないで済むような環境が整っているとも言えるかもしれません。
生活圏内で歩きにくい場所も少ないでしょう。
大抵はきれいに整地されています。
アスファルトで埋め尽くされて突飛な凹凸はほとんどありません。
エスカレーターや動く歩道など自分が歩かなくて良い場所すらあります。
急斜面を登るようなこともなかなかないでしょう。
滑りやすく足を取られやすい場所を進まなければならない体験は非常に少ないと想像します。
ということで自然の中を歩かないかぎり足裏で左右の足の置かれた状況を別々に感じる必要もなさそうです。
加えて足は靴に覆われています。
現代では外に出る時に靴を履かないことは皆無に等しいかもしれません。
都会で裸足で歩いている人を見かけたら奇特な人だと思うかもしれません。
そのくらい靴を履くのが当たり前になっているわけです。
さらに靴下が用いられることも多いと考えられます。
それによって靴との摩擦が避けられます。
多少合わない靴でも違和感を軽減してくれる可能性もあります。
もちろん冷えを避けることもあるでしょう。
これらは足が保護されている状況ともとらえられます。
足はなるべく安全なように靴や靴下をまとい安全な路面を踏んでいるわけです。
これが怪我などのリスクを低減させるのは言うまでもありません。
有難いことでしょう。
何かが刺さったり引っ掻いたりして足の裏を切るようなこともありません。
不安が生まれることなく歩けるわけです。
一方でこれは無意識に歩ける状態ともとらえられます。
注意しないからといって痛い思いをすることもありません。
他のことを考えていてもあまり支障はないでしょう。
とにかく歩くことに対する情報処理量は少なくて済みます。
だからこそ意図的に注意しないと機能低下につながってしまうことでしょう。
自分が置かれた安全な環境を理解しつつそのデメリットを超えて感覚を磨いていきたいものです。
谷 孝祐
2018.5.13 9:14