1週間ほど前のことです。
今月は新たな領域に入っていくタイミングなのでしょうか。
何となくそんなことを感じる体験がありました。
ダイビングに続いてそれは料理でした。
珍しくスペイン料理店に行った時のことです。
そこはパエリアなどのいわゆるスパニッシュというイメージではなくフレンチに近いスタイルです。
つまりコースで出てきます。
この時も8品くらいはあったと思います。
ただ雰囲気はやはりそれとは異なります。
より素材の味を引き出すイメージでしょうか。
どことなく和食に通づる感じです。
とはいえなかなかチャレンジングな印象もあるところです。
新たな味覚の提案というイメージです。
3か月タームでバルセロナ本店からの指示で内容が変わるらしいです。
ちなみにワインもそちらから送られてくるので興味深いリストになっています。
国内ではここでしかお目にかかれないものも多数ありそうです。
そんなわけで日本では稀有なレストランと言えるかもしれません。
どことなく高級アンテナショップのような気もします。
しかし今回はそれすら超える何かがありました。
度肝を抜かれたというのでしょうか。
テーマ設定から固定観念をはずされました。
個人的に様々なコンセプトのコースを提案してきましたがこういう発想はなかったというものです。
勝負ではありませんがこれをやられたら完敗という気分でした。
料理で生態系を表現していたのです。
コース名もエコシステムでした。
田舎に始まりツンドラから湖をへて湿地に渡り有光層にいたりました。
そして砂漠から内光層を通りステップへという順番でした。
実際に何が出たかは空想にお任せします。
素晴らしいのは本当にそれが感じられることです。
しかも味ではなくその地にいるような体感覚が得られるのです。
まるでテーマとなった場所の風や空気をインプットされるかのようでした。
視覚に訴えかける鮮やかな先進的フレンチとは真逆のベクトルに思います。
まさにアートという印象です。
久々に感性を刺激される時間でした。
あまりに素晴らしかったのでメニューの前文をシェアしておきたいと思います。
ガストロノミーは、芸術の一つであると同時に、それぞれの地域、国、大陸の産物と共に自己表現される一つの文化であります。
今季のメニューは、私たちが守り、享受し、保存していきたいと願っている生態系から発想を得ました。
私たちが環境を大切にすれば、未来の世代にも素晴らしい遺産を引き継げるでしょう。
谷 孝祐
2018.4.26 9:58