吹奏楽部でコンサートマスターになってからのことです。
練習の方向性が変わったからでしょうか。
顧問で指揮者の先生と折り合いがつかなくなってきました。
ある意味で否定しているような立ち位置になってしまったのかもしれません。
音楽についての方針が合わないことは事実でした。
目指している音が違うというところでしょうか。
それはブラスアンサンブルかシンフォニックブラスかというイメージの差異でした。
前者は各楽器の音を独立したものとして扱い後者は混ぜ合わせた音色にする感じです。
個人的にはシンフォニックが美しく好みでありコンクールにも有利だと考えていました。
なのでそのベクトルで練習していたわけです。
ちなみに合奏室の横の音楽準備室が顧問の部屋でした。
そんなわけでその様子を日頃から聞いていたことは確かです。
あるとき見るに見かねたのか一度だけ呼び出されました。
そしてアドバイスをいただきました。
若気の至りというところでしょうか。
言わんとしていることは理解できるものの受け入れ難いものでした。
ということで意図的ではないものの半ば無視したような形になってしまいました。
個人的にはそれでも仕方ないという想いでした。
音程が合ってハーモニーが成立することはパワフルさよりも重要なことでした。
その方がホールで響くわけです。
しかし思い返せばこれが先生との決別になってしまったのかもしれません。
そのあとは何も言われなくなりました。
自由にさせてもらえたといえばそうとらえることもできます。
とはいえ前代未聞の学年になったのでした。
コンクールで先生が指揮を振らないと言い出したのです。
理由は教務で忙しいということでしたが真相は分かりません。
ひとまず代役としてOBでプロの作編曲家にお願いすることになりました。
正直なところラッキーという気分でした。
なぜなら作りたい音楽のベクトルが合っていたためです。
ただ今思えばもう少し良い関係を保ったままやる方法もあったのではないかと思います。
目上の人に期待しすぎていたのだとも感じます。
谷 孝祐
2017.7.27 23:07