中学の卒業式といえば記憶に残るものでしょうか。
義務教育の終了という一つの句切れではあります。
なので多くの人にとって象徴的な出来事なのかもしれません。
もちろんそういったセレモニーに興味がない人もいるでしょう。
それに対する想いは人それぞれだと思います。
ただ何かを感じた時間だった可能性は高そうです。
しかし自分にとっては案外記憶に残っていないものです。
その練習の方がむしろ覚えているくらいです。
決められたことが淡々と進んだだけの印象だったのかもしれません。
単なる通過点にしかとらえていなかったのかもしれません。
卒業という実感がなかったのは事実です。
単純に寒さに耐える時間だった気がします。
少なくとも感慨もなく練習と変わらない気分でした。
しかし無感覚だったのではなくこれには理由があります。
実際にこの式は本当の意味で卒業を意味していませんでした。
吹奏楽部員にとってはそういうものだったのです。
なぜならこの数週間後に定期演奏会があったのです。
つまり式の後も学校で練習があったということです。
ということで真の卒業はこの演奏会だったわけです。
ちなみに当時はこれが当たり前のことでした。
春休みに入ってから演奏会がある学校は多かったものです。
場合によっては4月にずれ込むこともありました。
部活に入れ込んでいた自分にとってはそちらにしか意識がいっていない状況だったわけです。
それでもよく覚えていることが一つあります。
退場の時のことです。
多くの学校でそうかもしれませんがこの時に吹奏楽部が演奏を行いました。
これによっていよいよ卒業が近づいていることを認識したのかもしれません。
同時に後輩たちの成長に感銘を受けたのでした。
思い返せばこの意味において自分にとっての価値があったのだと思います。
当時はずっと中学生でも良いくらいの気分でしたが現実を知らせてくれたイメージです。
このことから本当に幸せな時代だったのだと感じます。
谷 孝祐
2017.2.16 21:31