食生活の変わったカリブから帰国してすぐに登山という予定でした。
そのためほぼ日常に戻ることなく山の中での生活になりました。
そんなわけで食事もその流れのままになったのでしょう。
ここでもビールを飲むことがありませんでした。
今までで一番長距離だったので無意識的にアルコールを避けたのでしょうか。
できる限りの疲労回復に意識が向いていたことは確かです。
少なくとも飲み物はほとんど水かお茶で過ごしていたような気がします。
また山小屋では食事の内容も自分で選ぶことは基本的にできません。
食べられないものは食べないという選択のみになります。
なのでやはり量が少なめになったのかもしれません。
摂取する品目が少なかったことは確実です。
それを補うためなのか毎食のように御飯をおかわりしました。
実際に一番美味しく感じられるのが白米だったこともありました。
これは自分の人生にとっては非常に珍しいことでした。
だからといって抑圧している感じでもありませんでした。
単純にそれ以上は欲しないという状態だったのです。
ただ痩せるかというとそうでもなかったようです。
きっと筋力がつくからなのでしょう。
下山して体重を計っても少ししか減少していませんでした。
しかし必要な栄養素が足りていなかったのでしょうか。
それとも無意識的な蓋がはずれて解放されたのでしょうか。
登山を終えてから欲するものが大きく変わりました。
毎日のようにお肉を食べる気になるのです。
効率的にタンパク質を吸収することを体が求めていたのかもしれません。
普段はたまにしか食べようと思わない牛肉をとる回数が格段に増えました。
そして食事の量も増えて体重も増加しました。
筋肉がついた分とも言えなくはないですがこの変化には懸念がありました。
それはそのままの食生活が続くことへのリスクを感じてのことです。
とはいえ久々に食べることの楽しみも味わえているというバランスでした。
ところが満足したのでしょうか。
ちょうど山をおりてから2週間経った日に突然もとに戻ったのです。
自然に適量である少量しか欲しなくなりお肉も以前と同じくらいしか食べられなくなりました。
こういう潮目のようなものがあるのだと実感した面白い体験でした。
谷 孝祐
2016.9.28 22:54