今回は信仰心のあつい仏教国にやってきました。
まずはじめに、とある聖地とされている場所に向かいました。
そこは山の上で道路はあるけれど一般車が入れないため、専用の交通機関を利用することになりました。
政府が運営しているトラックということでどんなものかと思いましたが、日本の価値観でいったらありえないような代物でした。
荷台に簡易的な席が取り付けられていてそこに載せられるのです。
日本でお役目を終えた、だいたい3tくらいのトラックでしょうか。
定員はまさに載るだけという様子で、子どもは親の膝にのせるように指示されるイメージです。
満員電車のトラック荷台版とでもいうところでしょうか。
今まで旅をしてきて、ここまで現地の人と体が密着する体験は初めてでした。
2年前の自分であれば受け入れ難いことだったでしょう。
それはさておき、出発すると驚きが増しました。
ここまで安全でない乗り物も初体験だったのです。
わりと急な山道を可能な限り速く疾走するのです。
それはさながら峠のトラックレースのようでもありました。
実測はわかりませんが、80km/hくらい出ている時もありそうに感じました。
また、対向のトラックとのすれ違いもかなりギリギリです。
コーナーでは左右に振られ、山肌が迫ってきたり崖が近づいたりという様子です。
まるで安全性の確保されていないジェットコースターのようでした。
何か不具合や運転のミスがあれば、それなりに人が死ぬことが容易に想像できます。
正直なところ、とんでもない乗り物に乗ってしまったと感じました。
恐怖を感じるわけではありませんが、さすがに楽しめる余裕もなくなってしまいました。
その状況でできることは事故が起きないことを祈るのみです。
それと同時に死の可能性をリアルに受け入れることです。
そんなことを考えていると、左右に揺られながらも次第にリラックスしているようになりました。
だんだんその場で体を安定させる力の使い方もわかってきました。
そんなわけで終盤はマシにはなりましたが、約30分のトラック旅は過酷で少し疲労が溜まりました。
とはいえ、世界でも指折りの珍しい体験であることは確かでしょう。
それでも自分の足で登ることを考えれば時間効率が良いわけです。
なかなか貴重な体験をさせてもらったと同時に、自分の枠が少し広がったような気がしたのでした。
写真がそのトラックの様子です。
谷 孝祐
2015.11.29 13:03