社会は出生を望んでいるか | 3年前のしこうの楽しみ

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新聞に「不妊治療大国」という記事が載っていました。
どこの国のことかと思い見てみると、日本のことでした。
今や治療をへての出産は、赤ちゃんの30人に1人の割合であるとのことでした。

個人的には全く知見のなかった分野ですが、想定外の印象でした。
それだけ人間本来の機能が低下しているとのことなのでしょうか。
環境要因や現代社会の文化的背景など様々な要因が絡んでいることかと思いますが、色々な意味で時代が大きく変化していることの一端のようにも感じます。

少子化の原因は育てる上での負担の大きさが主たるもののように考えていましたが、このことを知ると子どもが欲しくてもできないという状況もそれなりに影響していそうです。
そう思うと治療の成功率が気になります。
治療したうちの何%くらいが出産にいたっているのでしょうか。

以前に知った情報では数字は出ていなかったものの、かなり低そうな印象を持ちました。
基本的に自分自身は自然論者で、できたらできたで良いしできなかったらできないでも良いという感覚です。
もちろん、どうしても子どもが欲しいと願って行動する人を否定するわけではなく、むしろその情熱を純粋に尊敬します。

そう思った瞬間に、思考が展開しました。
社会は子どもの誕生を願っているのかと。
本当に欲しいものは得られるという価値観が真実であるならば、本当に子どもが欲しければ得られるはずです。

つまり、総合してしまうと社会全体としては望んでいないのかもしれないということです。
そういう意味では、子どもを育てやすい社会システムの形成と雰囲気作りは重要なのかもしれません。
しかし、おそらくその前提には多くの人が抱える生きていく上での不安が軽減される必要があるのでしょう。

そもそもの原因はここにあり、多くの社会問題につながっているように感じました。
そういう意味で、この事象は現在の日本の状況を的確に反映している窓なのかもしれません。
歴史をみても世間に不安が蔓延すると文明が傾くことは事実であるかのように見えます。

今は、もしかしたらその瀬戸際にいる時代なのかもしれないということが、感情を伴わずにただ腑に落ちたのでした。
もう少し真剣に社会のことを考えようと思ったのでした。

谷孝祐
2014.6.27 22:07