有機体のホテル | 3年前のしこうの楽しみ

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行きつけのホテルに滞在しました。
といっても年に2、3回行くくらいなのですが、何となく行きつけという感覚のある場所です。
なんでそんな感じがするのかというと、単純にホテル創業の数ヶ月後から通っているためでしょうか。
それとも何らかの縁でしょうか。

初めて訪れたきっかけは、当時の料理長が以前に務めていた温泉オーベルジュに行ったことがあり、彼の料理が印象に残っていたためでした。
その時にカウンター越しに話したことがあったからなのか、このホテルに初めて行った時に彼もなぜだかこちらを覚えていたのでした。
それ以来、かれこれ五年くらいの付き合いになると思います。

この春から料理長も三人目へと交代になり、創業当初の料理長はグループの総料理長として系列のホテルやレストランに顔を出しています。
同様にスタッフも折にふれかわっていき、今回は顔見知りのスタッフがほとんどいなくなったような印象を持ちました。
スタッフだけ見たら、往時の面影はないように思います。

顧客によっては離れていってしまう可能性すら感じるほどです。
とかく個人的に重要と思われたスタッフがいなくなり、会話のはずまない物寂しさもありました。
しかし、初年から知っているよしみなのか、この変化を楽しんでいる自分もいることに気づきました。

まるでこの地の持つ水の循環の良さという特徴を投影するがごとく、ほとんど変わらないハードである舞台を、タイミングに応じてソフトである必要な役者が代わる代わる作り上げていっているかのようです。
万事が最高の状態であったとは言えないかもしれませんが、ある一定以上のクオリティーは保たれ、必要な満足は確実に与えられる印象です。
ここまで有機的に存続していく感じのするホテルも珍しいもので、今回で認識を変えることにした方が良いように思いました。

今までは無意識的に変わらない良さを求めていたのですが、これからは何が変わって何が変わっていないのかに意識を向けて行くことにします。
その方が受け取るものが大きく、勉強になりそうなのです。

上質なものは対象に対する自分の価値付けが変化していくことで、永続的な付き合いになっていくのかもしれません。

谷孝祐
2014.6.26 22:40