世紀を超えた巨大建築 | 3年前のしこうの楽しみ

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ケルンの大聖堂へ行きました。
世界最大のゴシック様式の建造物で、ローマカトリックの教会です。

ドイツを代表する観光名所でもあるので、日本でも写真や映像で見たことがある人も多いのではないかと思います。
高さ157m、幅86m、奥行き144mという巨大さです。

現代建築ならまだわからなくもないですが、重機もない時代によくここまでのものを作ったと感じざるをえません。
その威容は異様なまでに存在感があり、街のシンボルというよりは支配者であるがごとく見えました。

建てるのにどのくらいかかったのか気になって調べてみると、1248年に建築が始まり、16世紀に財政難で工事が中断、19世紀に入ってから再開されて、1880年にすべてが完成したとのことでした。
日本式にとらえるなら、鎌倉時代に着工し、室町時代に幕府の財政難で中断、江戸末期天保の頃に再開し、明治13年に完成というイメージです。
なんとも気の長い話です。

何となく時代の流れが共通している感じが面白いところです。
中断があったとはいえ、600年以上もかけて建てたことになります。
建っていく経過の全てを実際に見ていた人は、確実に一人もいないでしょう。
建築に関わった人の多くも、完成した建物を見ていない可能性が高いと考えられます。

なぜここまでのものを建てようと計画ができたのでしょうか。
それはわかりません。
ただ、最終的に完成したところからも何らかの意味がありそうです。

個人的には、大聖堂を眺めていると歴史の深さを感じざるをえません。
誰にでもわかりやすく、巨大な生き字引がそこに存在しているようにも見えます。

興味深かったのが、ケルン大聖堂はライン川のすぐ近くに建っているのですが、橋を渡って対岸へ行くとその重々しい空気感はなくなり、シンボル的な存在に映るのです。
巨大な建築の場合、空気とともに湿気の流れなども変え、その土地を変容させる力があるのかもしれません。

同じように人間もミクロなレベルでは、そこに存在するだけで何らかの変容を起こしている可能性があることを実感できたのでした。

谷孝祐
2014.3.8 16:08