夢と幻想の国へ | 3年前のしこうの楽しみ

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今年になって予定的な余裕というものが非常に少ない中、ドイツにやってきました。
昨年のポーランドで気づいてしまった、早々にドイツへも行かないといけないという想いに従うためです。
ドイツ行きは、今まで自分の中で美化されたものをそのままにしておくため、どこか無意識的に避けていたのかもしれません。

音楽留学をしようと夢見ていた場所であり、学生時代は一番素晴らしい国という見識でした。
高校入学くらいからすでにそういうイメージはあり、ドイツに行ってみたいという想いがありました。
そして、初めての海外旅行が演奏旅行として行ったドイツでした。

その時の体験は、今でこそ色あせたものの、ドイツへの音楽留学への気持ちを固めるには十分なものでした。
結果的に堅実な判断というべきか打算的な判断というべきか、留学は諦めることになりましたが、どこか美化されたイメージは残っていたようです。
そして、演奏旅行以来、目的地として、つまりトランジット以外でドイツに入国したことはありませんでした。

様々な国をまわる中で、国という概念が自分の中で変わったり、それぞれの土地の良さを受け取る中で、美化された幻想が緩んできたのかもしれません。
過去の幻想をフラットに見つめられるようになったのかもしれません。
そしてその土地と文化をちゃんと見つめる精神的な準備がやっとできたために行く必要性を感じられたように思います。

しかし、主観的には留学を諦めた時点で、随分幻想から解き放たれたものでした。
それは一流の音楽家になる夢を手放すことと同時だったため、また夢と手段である留学は対であったために、一気にドイツへの主観的想いは消えていったのでしょう。
それでも、自主的にインプットしてしまった幻想は潜在意識に残っていて、ドイツを無意識に避けていたのかもしれません。

若かりし頃に作ってしまった幻想の威力を実感せざるを得ません。
客観的に考えれば、主要ヨーロッパ各国を浄化の目的で回ってきたのに、ドイツ語圏がその対象に上がってこなかったのはおかしなことでしょう。
到着した翌朝、そこに向かえるようになったことを祝福するかのように、ライン川の向こうから完璧なまでの陽がのぼったのでした。

谷孝祐
2014.3.5 15:23