『アンチヒーロー』 | なにわの司法書士の徒然草

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TBSテレビ日曜21時のドラマ『アンチヒーロー』

 

 

日曜劇場の弁護士ドラマというと、2シリーズが放送された『99.9』が浮かんでくるが

 

今作もそれと同様に、起訴されれば99.9%が有罪となる刑事事件で

 

無罪を勝ち取るために奔走する弁護士の物語

 

 

しかし、その主人公のキャラクターは全くの正反対

 

『99.9』の松本潤が、常に意味ありげな笑みをたたえ、時にダジャレ交じりに語り

 

事件の真実を追求することで無罪を勝ち取ろうとしているのに対して

 

今作の長谷川博己は、冷たい目に無表情、冷徹で高圧的な語り口調

 

真実などどうでもいい、依頼人のためにはどんなことをしてでも無罪にする弁護士

 

第1話でも、どう騙したのか5歳の少年に嘘の証言をさせたり

 

検察側の証人に接触して証言の不正確さを引き出したり、あの手この手を繰り出していく

 

いわばダークヒーロー

 

 

逆転無罪を勝ち取る弁護士ドラマというと、特に真犯人を見つけたりもするものだが

 

今作の長谷川博己は決してそういうことはしない

 

もちろん依頼人が真犯人である可能性が極めて高いからということもあるのだが

 

あくまで狙いは検察側の証拠のほころびを見つけること

 

このあたり、裁判に親しみのない視聴者にはわかりにくい部分だが

 

刑事裁判は0か100ではなく、検察側の証拠によって被告人の犯行が明確に立証できたか

 

それとも疑いの余地があるのかの争いであり、疑いの余地があれば無罪が宣告される

 

つまり、検察側の証拠を揺り動かすことができればそれでいい

 

長谷川博己の台詞を借りれば「検察が出してきた証拠を握りつぶせばいい」ということになる

 

 

長谷川博己とチームを組むのは堀田真由と北村匠海

 

新人の北村匠海が長谷川博己に振り回される立場なのはありがちな役回りだが

 

腹心のように見えていた堀田真由までが振り回されてしまっているのは意外

 

5歳の少年に法廷で証言をさせる場面で、少年を法廷に連れて来て質問をしたのは堀田真由

 

当然長谷川博己の策略を伝えられているものと思っていたが

 

その後に証言が嘘だと気付き唖然とするシーン

 

そこまで長谷川博己は悪を貫くのか、それとも仲間の手を悪に染めないための優しさなのか

 

 

そんな長谷川博己が唯一笑顔を見せる相手が女子高生の近藤華

 

てっきり長谷川博己の娘なのだと思っていたが

 

第1話のラストに獄中の緒形直人が映し出され、また長谷川博己がやたらと死刑囚や

 

その家族のつらさを語っている場面もあったので、おそらく緒形直人が死刑囚で

 

緒形直人の娘を長谷川博己が引き取って世話をしているということなのだろう

 

緒形直人の事件を再審請求して無罪に導くというのが今作の縦軸になりそうだ