『アイのない恋人たち』・最終回 | なにわの司法書士の徒然草

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テレビ朝日(ABCテレビ制作)日曜22時のドラマ『アイのない恋人たち』

 

 

男女7人の恋愛群像劇を描く場合、ひと昔前ならば、ヒロインは

 

最初は男の2番手に告白されて付き合うが、本当に好きな人に気付いて主人公と結ばれる

 

というのがお決まりのパターンだったり、三角関係、四角関係もあったりと

 

恋の矢印が入り乱れるのが当たり前だった気がする

 

しかし、最近のドラマはどうも1対1対応がお好きなようで

 

友達同士でヒロインを奪い合ってバチバチするようなことはめっきり見なくなった気がする

 

 

今作でも、福士蒼汰と岡崎紗絵、本郷奏多と成海璃子、前田公輝と深川麻衣の

 

3組の組み合わせは第1話から最終回まで全く変わること無く

 

福士蒼汰の高校時代の元カノの佐々木希が絡んではくるものの

 

基本的には3組のカップルを並行して描いていくことに終始

 

これが最近の若者の恋愛模様を反映したものだということなのだろう

 

 

そういえば、7人の主要登場人物のうち2人も、30歳を越えても恋愛未経験というのも

 

最近の若者の傾向に合わせた設定だということか

 

ただ、学生の物語ならまだしも、30歳を過ぎた大人のラブストーリーで

 

2人もがキスもしたことが無くて、そのことをコンプレックスに感じていたりというのが

 

どうも見ていて気持ちが引けてしまった気がする

 

現実社会がどうというより、岡崎紗絵や本郷奏多のように見た目モテそうな人物が

 

恋愛未経験です、ということがしっくり来ないのだと思う

 

恋愛経験が少ない、という設定はよくあるが、全く未経験というと

 

ドラマとしては扱いにくい設定のような気がする

 

 

第1話からのほとんどを、3組のカップルの恋模様を並行して描いていって

 

毎話の冒頭で、男性陣はオンラインで、女性陣は岡崎紗絵の店に集まって

 

それぞれの進展具合を報告し合うのが恒例になって

 

端から端まで「恋愛」を紡いでいったはずなのに

 

最後の締めが「友情」で終わったのもどうもしっくり来なかった

 

今作で描きたかったのは「恋愛」ではなく「友情」だったということなのか

 

だから、いろいろと恋バナもして結婚式の準備も一緒にしたりしていた女性陣が

 

自分たちの共通点は「友達がいないこと」だなんて言い出したり

 

結婚の許しを請いに行った本郷奏多に、成海璃子の父親のおかやまはじめが唯一質問したのが

 

「友達はいますか」だったりするわけか

 

だとすると、タイトルからドラマ全体の流れから、全て肩透かしを食らった気分

 

 

これが、最初から「友情」を描く流れになっていたのであれば

 

高校時代の卒業式で、スピッツの『チェリー』を一緒に歌い、15年後に再会しようと約束

 

15年後に再会し、福士蒼太は自身の脚本のドラマの最終回に

 

主人公たちがスピッツの『チェリー』を歌うシーンを盛り込み

 

ケンカをしていた3人が高校の正門前に集まってスピッツの『チェリー』を大声で合唱

 

無事仲直り、というのは理解できる流れなんだが

 

そうなると第2話から第8話ぐらいまでっていらないなという気持ちになってしまう

 

 

そういえば、男性陣のリモートと女性陣の店での集合という恋愛作戦会議を

 

毎話の冒頭で描くのが恒例のなっていたのに、後半無くなったのも残念なところ

 

冒頭で前回の振り返りをダイジェストで流して視聴者に思い出させるドラマは多いが

 

その代わりに、こうして登場人物に語らせて前回の出来事を振り返るというのは斬新で

 

前田公輝と深川麻衣の結婚式がドタキャンになった時の

 

男性陣は居酒屋に、女性陣はバーに集まって、飲みながら反省会をしていたのは

 

大きな事件があったこともあっていい変化のつけ方だと感心していたのだが

 

終盤にはそういう理由もなく恒例行事を捨ててしまったのは本当にもったいない気がした

 

 

それと、この日曜22時のドラマ枠自体の残念なこととして

 

TBSの日曜劇場をあまりにも意識し過ぎ

 

昨年7月期の『何曜日に生まれたの』のときは、日曜劇場の『VIVANT』が

 

よく放送時間を延長していたので、その度に放送開始時間を遅らせていたが

 

今作も、最終回が日曜劇場の『さよならマエストロ』の最終回15分拡大SPと重なって

 

『サンデーステーション』を30分拡大SPとすることで放送開始を30分ずらした

 

こういう姿勢は最初から日曜劇場に白旗を上げて負けを認めているということ

 

そんな弱気ならば、いっそのこと全く別の曜日に枠を移動させればいい

 

こういう負け犬根性で制作したっていい作品は生まれないのではと思うのだがどうだろう