『マイホームヒーロー』・最終回 | なにわの司法書士の徒然草

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毎日放送(TBS系列)火曜24時59分のドラマ『マイホームヒーロー』

 

 

この『ドラマイズム』の深夜ドラマ枠では、直後に映画公開が控えている作品の

 

ドラマ版を放送することが度々あるが、その多くは映画を宣伝するだけの目的で

 

プロローグ的で中途半端な作品で、ドラマとしては成立していないものが多かったし

 

簡単に4話程度で終わるようなこともよくある話だった

 

 

今作も、第1話放送時から春の映画公開を発表していたので少し心配していたが

 

そんな必要は全くなかったようで、非常に中身の濃い充実した10話の連続ドラマ

 

そりゃあ、佐々木蔵之介さん、木村多江さん、吉田栄作さんが出演していて

 

中途半端な作品になりようがないわけだが、最終回のラストでちょっと垣間見えた劇場版は

 

今作の続きではありながらも、7年もの時間が経過して全く違うストーリーが展開されそう

 

 

劇場版の直前に連続ドラマが放送される作品によくあるのは

 

劇場版の前半1時間分ぐらいを少し膨らませて連続ドラマにしたというようなもので

 

基本的に時間は近接していて、キャストの設定もほぼ同じということが多い

 

しかし今作は、連続ドラマのエピソードがいったん完結して家庭に平和が戻った7年後

 

ラストシーンで豪雨のニュースが流れ、佐々木蔵之介さんが埋めた吉田栄作さんの死体が

 

白骨化して地表に出てきた映像でドラマが終了

 

 

直後に映画の宣伝に変わるが、娘の斎藤飛鳥は捜査一課の刑事になっているという設定

 

ドラマでは、大学生の斎藤飛鳥を、そして家族を守るために佐々木蔵之介さんが奮闘したが

 

今度は、斎藤飛鳥が佐々木蔵之介さんを追いかけることにもなりそう

 

また、佐々木蔵之介さんの策略によって組織の金を横領し、仲間を殺したと疑われたまま

 

逃走した高橋恭平は佐々木蔵之介さんを憎んでいるはずだし

 

吉田栄作さんの死体が発見されたことで、組織も佐々木蔵之介さんを追いかけるはず

 

 

ここにドラマの最終回のちょっとした台詞がつながって来る

 

子供の頃に溺れた自分を佐々木蔵之介さんが助けてくれたエピソードを思い出して

 

いつも私を守ってくれたと口にする斎藤飛鳥は、続けて「今度は私が守らなきゃ」

 

ドラマだけならたいした意味のない言葉なのだが、映画に続くことを考えると

 

組織や高橋恭平に命を狙われるであろう佐々木蔵之介さんを守ることができるのか

 

一方で、吉田栄作さんを殺してはいないが容疑はかかるであろうし、そこから遡って

 

ドラマ冒頭の内藤秀一郎殺しの容疑者にもなりそうな佐々木蔵之介さんを

 

斎藤飛鳥は刑事として追い込んでいくのか、娘として父親を信じるのか

 

何気ない一言が、大きく映画につながっていく

 

連続ドラマの最終回として、ドラマの話をするはずなのに、ドラマが面白かったうえに

 

映画につながる導入や宣伝が上手過ぎて、映画の内容が気になって仕方ない

 

 

もちろんドラマの方も素晴らしい内容

 

こうしたバイオレンスでハチャメチャなストーリーだと、どうしてもところどころ

 

それは無理があるでしょう、とかそれっておかしくない、という矛盾や違和感が

 

出て来てしまうものだが、そういう部分が全く無く

 

ミステリー作家という設定の佐々木蔵之介さんがその知識を駆使して繰り出す策略が

 

どれも唸らされるものばかりで、緊迫感と痛快感の連続

 

そこに、毎回のように「何か私にできることある?」と協力する木村多江さんの

 

佐々木蔵之介さんと同じように子供を守るその一念だけで突き進む強い母親像も素晴らしい

 

 

そして、ただのバイオレンスコメディというだけでなく

 

根底には親子愛というものが流れていて、ちょっといい話になっているのも大きな特徴

 

佐々木蔵之介さんの一家はもちろんのことなのだが

 

組織側のボスで悪役設定の吉田栄作さんも、そもそもは息子の内藤秀一郎を殺された身

 

息子を愛するがために、佐々木蔵之介さんや高橋恭平を追い詰めていたわけだし

 

最終回には、息子の死という現実を受け入れた絶望感から、自ら腹を刺して絶命する

 

その子供に対する強い愛を感じてしまうと、中盤ので佐々木蔵之介さんと吉田栄作さんが

 

バーで偶然に出会ったシーンなどは、当初は敵同士が相手の心の裏を読み合う場面に見えたが

 

終わってみれば、子供を愛する親同士の子供愛自慢の場面だったようにも思えてくる

 

 

劇場版では吉田栄作さんに代わってどんな敵が現れるのかはわからないが

 

できればその敵の方にも「親子愛」というものが描かれて欲しい気がする