『ブギウギ』・最終週 | なにわの司法書士の徒然草

なにわの司法書士の徒然草

つれづれなるままに日暮らし
PCに向かいて
心にうつりゆくよしなしごとを
そこはかとなく書きつづれば
あやしうこそものぐるをしけれ

NHKの連続テレビ小説『ブギウギ』

 

 

実際に存在した人物をモデルに制作するというのは朝ドラにはよくあることだが

 

ここまでNHKの他の番組でその人物を取り上げるというのはかなり珍しい気がする

 

大河ドラマの方では、その主人公にまつわり史実を取り上げた歴史番組があったりするが

 

朝ドラの場合は朝ドラの番組宣伝を兼ねてその人物の生い立ちを紹介する程度だったと思う

 

 

しかし今作では、笠木シヅ子さんがモデルということで『うたコン』で何度か特集したほか

 

特別番組で笠置シヅ子さんや服部良一さんをフィーチャーした番組も放送し

 

『木村多江の、いまさらですが』のような番組でも

 

笠置シズ子さんと服部良一さんの話を取り上げる回があった

 

ただこの『いまさらですが』に関していうと、放送された週の金曜日に

 

趣里の妊娠中に水上恒司が命を落とすという衝撃的な展開が待っているタイミングで

 

月曜日に笠置シヅ子さんの妊娠中に旦那さんが亡くなったことを番組で知ってしまい

 

ドラマの展開を先に知ってしまうということがあった

 

笠置シヅ子さんの生い立ちを詳しく知る視聴者だけではないわけで

 

あまり詳しくネタバレになるような番組を放送するのもどうなのだろうという気はした

 

 

歌番組などで取り上げたというだけでなく、劇中でも笠置シヅ子さんの曲を

 

何曲も使用したのも今作の大きな特徴

 

あくまでフィクションであって、主人公は福来スズ子なのだが

 

実在の笠置シヅ子さんの曲を歌うということには若干の否定的意見もありそうだが

 

ここまで何曲も、そして歌う時にはほぼフルコーラスで数分使って趣里が歌い上げ

 

時にはコンサートという設定でほぼ1話15分を歌だけで終わった回もあり

 

有名な『東京ブギウギ』や『買い物ブギ』だけでなく、『ラッパと娘』や『アイレカワイヤ』と

 

使われた曲が全て実在する笠置シヅ子さんの曲だということで

 

ここまでくれば主人公の役名も「笠置シヅ子」にしてもいいのではと思うぐらい

 

 

また、既にテレビが誕生していた時代の出来事などは映像も残っているだろうから

 

事実に忠実に再現した場面も多かったのではないかとも思うし

 

最後の引退コンサートで、山口百恵さんがマイクをステージに置いた場面を思わせるように

 

趣里がステージにそっと手を置いて感謝と別れを表現したようなシーンなどは

 

実際にそういうことをしたんだろうなと想像させた

 

 

趣里以外にも、淡谷のり子さんを演じた菊地凛子が『別れのブルース』を唄ったり

 

榎本健一さんを思わせる 喜劇王「タナケン」の生瀬勝久さんと舞台共演したり

 

小雪が社長を務めた会社はおそらく吉本興業で、小雪は吉本せいさんなのだろうとか

 

紅白歌合戦を思わせる「オールスター男女歌合戦」で、趣里を脅かす若手歌手として

 

登場した吉柳咲楽が演じたのは実際は誰なんだろうとか、いろいろと想像を膨らませてくれた

 

 

朝ドラで毎作話題になる1つの要素が「別れ」

 

今作では、水上恒司の死というのももちろんだが、家族の死が非常に印象的

 

母親の水川あさみが危篤になったときには子供の頃の思い出の『恋はやさし野辺の花よ』を

 

柳葉敏郎さんの病床では『東京ブギウギ』を替え歌にした『父ちゃんブギウギ』を2人で合唱

 

弟が戦死したときには、歌えなくなった趣里のために草彅剛が作った『大空の弟』を

 

ステージで涙をこらえて大熱唱

 

歌での別れというのは、今作らしいこだわりの演出だった

 

 

個人的にツボったのは、内藤剛志さんの出演

 

娘の誘拐を予告する脅迫文が届いて駆けつけてきた刑事が内藤剛志さんだったが

 

内藤剛志さんが刑事としてそこにいるだけで、朝ドラではなくテレビ朝日の刑事ドラマに変化

 

失礼な言い方だが、朝ドラとしては邪魔なほどの存在感を放っていた

 

 

一つ種明かしをして欲しいと思うのが、オープニングの操り人形

 

全く気にせずに見ていたのだが、最後の最後になって、引退を決めた趣里が

 

草彅剛と正直な気持ちをぶつけ合うシーン

 

趣里が、自分と草彅剛の関係を人形遣いと人形に例え、「先生の最高の人形でいたかった」

 

もしかするとこの台詞があったから、オープニングで人形に歌わせていたのか

 

それとも単なる深読みのし過ぎだろうか