構成力や演奏技術、サウンドプロダクションはロックの魅力を広げてくれるけど、やはり良い歌の存在がとても大きな要素であることを再認識させてくれました。

ゴールデンウィークに入る前に、Fleet Foxes と Panda Bear が楽しみ宣言をしましたが、フタを開けてみればヘビロテ王はこのグループ。

ノースカロライナを中心に活動するUSインディグループ、 The Mountain Goats
すでに20年選手となるこのグループ、もうかなりのベテランです。

彼らの最新作 "All Eternals Deck" は18枚目のアルバム。
どこでこのアルバムを知ったのか忘れましたが、自分の買わなきゃリストにしっかりとインプットされ、買っておいたものをこのゴールデンウィークに解禁しました。
$ノスタルジックなノイズたち

まるでシンガーソングライターのアコギ弾き語りと言っても過言ではないほど、とてもシンプルな構成のロックです。

それもそのはず、中心にいるのは天才シンガーソングライターのジョン・ダーニエル。

そこにあるのは、奇をてらうことのない、リアルな音楽。
虚飾を排した、音楽衝動。
エモーショナルな歌と優れたメロディとシンプルなバッキングだけがそこにある。







アルバムの前半は比較的激しめの曲が多く、後半から終盤にかけて穏やかで沁み入る曲が続きます。
こういった構成も、心に残るアルバムになるツボかもしれません。

いつもサウンドスケープがどうのこうのと言ったり、個性的でオリジナリティがうんねん、と言ってるので、自分はこういうタイプの音楽が好きじゃないと思われてるかもしれませんが、実は大好き。

前述の Cass McCombs もそうですが、もちろん強烈な存在感を持ち、優れた音楽を創っていることが前提ですが。
むしろこうしたシンプルだけど優れた存在ほど、心に深く突き刺さり、なかなか抜けないことが多いです。

このスタイルが18年変わっていないのかどうかはわかりませんが、このスタイルだからこそ、18年活動を続けてこられてるのかもしれませんね。


相変わらずどんどんCD販売店は少なくなっていき、行かれる店舗が遠くなると、自分の足もショップから遠のきます。


それでもタワレコの渋谷店には定期的に行かないとと気が済みません。

新譜が続々と入荷しているだけじゃなく、フロアであれだけのCDに囲まれてると、なんだか幸せな気持ちを感じるような気がします。


自分の知らないたくさんのCDたち。

もしかしたら大傑作が埋もれているかもしれない。

いや、きっと早く手に取って欲しいと訴えてる大傑作が大勢いるに違いない。

入ってきたばかりの新顔たちの中には、ほとんど知られてない驚異のアルバムがあるかも。


すると足は試聴コーナーに向かいます。

本当に充実した試聴コーナー。

ときどき壊れてる装置もありますが。


時間があればあるだけ聴いてみたい、と前は思っていました。


でも最近自分に課したルールがあります。

CD屋の店頭で試聴して、おおっと思ったCDは買わないこと。


90%以上の確率で、拡大評価してるんですよね。

あそこじゃ、絶対に雰囲気しかわからない。

へたすりゃ、自分が聴いてる音量よりも大きく聴こえる店内の別の音楽。


とくに細かなサウンドスケープや音創りを大切にしてる自分にとって、そのサウンドスケープが台無しになるだけじゃなく、別の音が入り込んで音楽自体が別物になってしまう。


良くあるのが、おお複雑で緻密な音創り、と思ったら、別の音が入り込んで厚みが出て、良く聴こえてただけ。


なので、なかなか良いと思ったり、タワレコの店頭で大プッシュしてて興味があるものは、家に帰ってからYouTubeで試聴するって方が、確実です。


最近はこれです。

余計な衝動買い防止に効果的。


でもまあ、良いと思ってもその場で買えないことと、95%くらいの確率で、ああ~あれなんて名前だっけ忘れたー、となるのが欠点ですけどね~


USインディのトップグループを形成する Animal Collective のメンバーNoah Lennox のソロプロジェクトである Panda Bear のニューリリース、 "Tomboy"
$ノスタルジックなノイズたち

Animal Collective はシンセやサンプリングを駆使して、極彩色のロックをパフォームしてくれるグループ。2009年にリリースされた最新作も各種メディアを初め、非常に高い評価を得てました。

アニコレは唯一無二の音楽ですね。
一聴して彼らだとわかる、非常にオリジナリティに溢れたロック。
強烈に新しさを感じます。

ただ、自分の好みとすると、ボーカル処理も含めエレクトリック色が強すぎることと、独特のリズム感があって、今一歩馴染みきれませんでした。
繊細な音創りではなく、強めの音、主張の強い音を厚く重ねて行くタイプ。
厚化粧的な過剰感で、聴き終わった後に妙な疲労感が残るんですよね。

グループの中心メンバーのひとりがソロアルバムを出すと、その中身はグループの音楽性を薄めながら自分の趣味性を加えたものになりがちで、どこか物足りなさが残ることが多いです。

このPanda Bear のアルバムもそんな轍を踏むのであれば、むしろそれは過剰感を適度に抑えることになり、自分にとっては好ましい結果になっているのではないか、そんな期待感で聴き始めました。

やっぱり、予想は正解。
過剰感は抑えられ、音が心地よく流れてくれます。
かなり強い陽性の音楽もいくぶんかダークな色彩も加えられ、好ましいバランスに。
ボーカルエコーの処理など、まさしくアニコレ、という感じの部分も残ってますが。

今回のキラーチューンかな。


一番アニコレ寄りの曲。


この曲調、けっこう好きです。


ある種、とても人工的な雰囲気のある音楽です。
エレクトロとも違うけれど、アコースティックの対極にあるもの。

近未来的なプラスティック都市で流れる曲にふさわしい。

そこまでのキャラクター付けができる。
それも凄い個性の表れだと思います。

さて後半戦、比較試聴開始です。



まずは、通常CDとブルースペックCDを聴き比べます。


そもそもブルースペックCDは、通常のCDと音源の違いはありません。

リマスターしてるわけでもありません。


原盤のカッティング段階でブルーレイを使うため、より正確な信号記録ができること、CDそのものの素材に高分子ポリカーボネートを使用しているので光信号の乱反射が少ない、だからより正確に信号を拾うことができる、というのが違いだそうで。


でもまあ、これは我々リスナーレベルでは把握できない微差でしょう、きっと。


Lotus Flowerを聴きます。


CDプレーヤーにCDを入れ替えながら何度か聴く。

たしかにブルースペックCDの方が、やや金色がかったディスクですね。

う~ん、微妙。

ほとんど音の違いはわかりません。

判断保留。


いよいよアナログレコードとCDの比較です。


CDは通常CDを使用。


システムの関係で音圧が違うので、換えるたびに音量を変えないといけないのが面倒くさい。


ここで改めて気付くのもアホですが、このクリアレコード、大きさが普通のレコードよりも小さい。

通常は直径30cmですが、これは25cm程度かな。

これはちょっと問題。

なぜなら前述の45RPMのメリットを生かしきれないから。


レコードは外周部分が一番音が良いんです。

1周の距離が長いですからね。その分、信号をしっかりと記録できる。

このおいしい部分がないとは。

パッケージの効率性を考えての結果でしょうけど、もしかしたら音質面にはさほどこだわりがないのかもしれません。


などと思いながら、聴きました。


一番の注目は、低音部分の再生能力。

CDがもっとも苦手とするところ。

フォーマットの制約で、圧倒的なボリューム感の低音を記録しきれません。

特に今回のアルバムは、ダブステップからの影響も大きいので、低音部分の再生はポイントです。

レコードに凄い低音が入っていたらどうしよう、ワクワク。


う~ん。

圧倒的な差はありませんね、とりあえず。


確かに、CDの方は、無理やり低音を枠にはめてる印象があります。

レコードは低音がボリューム感たっぷりに聴こえます。

でもこれは聴き比べてなんぼの違い。


むしろ、アナログとデジタルの違いが音楽の表情にもたらす影響の方が大きかった。


CDはやはりクリア。

潜在的なノイズレベルの低さで、解像度が高くキレイに聴こえますね。

理知的で、冷静なイメージ。


アナログレコードは、チリチリパチパチというノイズもありますが、やはり通底ノイズというか、ベースのクリアさが低いです。

しかし、周波数帯域の上下を切っていないせいなのか、音にハリがあります。

トムのボーカルがCDよりも瑞々しく聴こえます。

上の帯域から下の帯域まで、活発でエネルギー感がある感じ。

比べると、CDは冷静でおとなしい。

どこか、型にはめられて行儀よく振舞おうとしているイメージです。


ここで改めてブルースペックCDを入れて聴き直します。


すると、レコードが勝っていた低音のボリューム感と音楽自体のエネルギー感において、若干ブルースペックCDの方が通常CDよりも優れているように聴こえ始めました。

気のせいかもしれないレベルですけど。


もしかしたら、CDとレコードの音の差は、アナログプレーヤーのカートリッジのキャラクター(DENONのMC型)に拠るところが大きいかもしれません。

CDプレーヤー以上に、アナログプレーヤーはそのピックアップ部分であるカートリッジの性能で音が変わりますからね。

まあ、そのくらいの違いに過ぎなかった、ということですね。




そんな感じで、アナログレコードの良さも見えた今回の比較試聴。

PILのメタルボックスでの大差 ほどはその差は見えませんでした。


メタルボックスのレコードの溝は、肉眼で見てもはっきりその違いがわかるほど強烈なものだから。


アナログレコード聴けないみなさん、ご安心ください。

CD聴ければ十分です。MP3は劣りますけど。



(番外編)


ところで、やはりレコード最大の欠点を突きつけられるハメになりました。。


1枚目A面の最初の曲、Bloomの聴き始め。


ビシ、ビシ、という音で始まりました。

なんか、レコードの表面にキズでもついてるんでしょうね。

1回転に1度、鳴ってくれます。最初の30秒ほどですけど。


昔だったら、買った店にいって、ここにキズがついててスクラッチノイズが~と言えば、交換してくれました。

でもこれは盤が透明なので、光が乱反射して、どこになにがついてるのか、まったく見えません。

そしてこんな販売方法なので、ホステスにクレーム入れても、果たして交換などの措置を取ってくれるものやら。


明らかに泣き寝いりモードです。。





届きました、The King Of Limbsニュースペーパーアルバム。


2月にいきなり発売告知がなされ、ネット上で2バージョンあるのを知った時、やはりニュースペーパーアルバムを選んでしまうのは、ファンの性でしょうね。

限定アイテムや、ボーナストラックの存在の可能性などを期待するなという方が無理。


結果的にこのバージョン用のボーナストラックはなかったし、届くのがMP3音源ダウンロード開始から3カ月近く後。

またその間に発売延期などもありましたが、国内盤CDもリリースされ、ニュースペーパー・アルバムが届く意義はどこ??的な状態に、いつの間にかなってしまっていました。。


まあ、それでもスペシャル・バージョンではあるし、CDを買ってない人には初めてのパッケージメディア。

ダウンロードしただろうから、今回届いて初めてこのアルバムを聴いた人はほとんどいないと思いますが。


自分にとっては、このアルバムが届くのは、アナログレコードが入っていることへの期待感がけっこう大きかった。


CDフォーマットというのは、やはり上下の周波数帯域をぶったぎっているので、クリア感はありながらも、ダイナミックレンジの狭さが音に影響を与えます。

特にPublic Image LTD のメタルボックスなどで、リマスターしたCDでさえ、音質にこだわった旧録音のアナログレコードには音的に敵わないことを知っていたので、このアナログレコードにけっこう期待してました。


それに、アナログプレーヤー持ってなくても、このニュースペーパー・アルバムを買ってしまった人がけっこう多いのではないでしょうか。

聴きたくても聴けない、透明な円盤。

皆さんの手元にある、このアナログレコードの真価やいかに。


ということで、例によって音源別の試聴を敢行です。


今回のアルバムは、音源の種類には事欠きませんね。


  MP3

  国内盤ブルースペックCD

  ニュースペーパー付属通常CD

  アナログレコード(45RPMの片面2曲収録!)


すでに、MP3とブルースペックCDとの比較試聴は実施済みです

圧倒的大差で、MP3の負け。

まあ、これは初めから勝負はついていたようなものなので、今回は触れません。


対象として聴いた曲は、Lotus Flower 。


音の良さとしては、


MP3 ≪ 通常CD < ブルースペックCD < アナログレコード


という事前予想を立てました。

やはりアナログレコードの45RPMカッティングは強力だろうと。


ちなみにレコードになじみのない人に説明すると、一般的なレコードは33.3回転/毎分です。

つまり2秒弱に1回転するレコードに刻まれている情報をカートリッジという針で拾うわけです。

それが今回のレコードは45回転/毎分。

通常のレコードより1.5倍早く回転することになります。


すると、単位時間あたりに拾える情報量が通常のレコードよりも1.5倍多くなり、それだけ音の情報量が増えるということになります。

簡単に言うと、1.5倍音がよいレコード(になりうる)いうことですね。


さて、試聴結果はどう出たのか。


ここまでの前フリで、思わず記事が長くなってしまったので、結果は次回~